上代特殊仮名遣い 二音目 [sc](★0)
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- 2012/06/23(土) 20:31:32.19
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前スレ:上代特殊仮名遣い
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/gengo/1305988303/
立てた
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- 806
- 2014/03/07(金) 16:51:30.91
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>>804-805
そういう用途に使えるスレがあるのでお使いください。
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/gogaku/1386410974/
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- 807
- 2014/03/17(月) 17:42:07.81
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>>797>>802-803
>日本語の母音調和はアルタイ語の母音調和と素直に繋がらない
俺は>>461だけど、いろいろ考えてみた結果、スレでも何回か突っ込まれた通り日本語の母音調和はアルタイ的な母音調和とは無関係だと思うようになった
確かに有坂法則をアルタイ語と結びつけるのは無理だと思うし、有坂法則は日本語がアルタイ語と接触する前の時代にAN語の枠内で生まれた発音ルールなんじゃないかな
ただ、子音構造がAN語時代と比べて大幅に簡略化した結果ただでさえ同音異義語が生まれやすくなってる状況だったのに、更に母音の組み合わせパターンを狭めるような有坂法則が生まれたのは不思議に感じる
>むしろuが2種類あった
上代以前の日本語にu1とu2が存在したという説は複数の学者が別々に主張しててかなり根強いね
これに関してはアイデアが無いんだけど、実際のところはどうなんだろう
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- 808
- 2014/03/17(月) 17:43:46.74
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>話の流れを大幅に戻すけど、>>758で語られてたo1がuaの融合で現れたという説が、どうも未だに納得しきれない
俺はo1の起源は母音融合とuの低舌化の両方だと思う
AN語はa,i,u,əの4母音だし、大野晋が唱えたように日本語祖語の母音体系はそれをそのまま受け継いだものだとしか思えない
ただ、o1が生まれた母音融合の起きた時期がi2やe2が生まれた母音融合の時期よりかなり早かったんだと考えてる
根拠はいくつかあって、まず「-iによる造語が多発して母音衝突が増えたという契機」は明確なアルタイ由来の要素だけど、silaw→siro1のようにo1に関してはAN語の中だけで起源が説明できる例がある
それに、上の方でも書いたけどi2やe2が早い時期に生まれてたなら円唇前舌狭母音であるツングース語のu"は日本語のi2に対応してなければおかしく、u"が日本語のo2に対応していることからも日本語のi2やe2が生まれたのがかなり遅い時期だったことが分かる
つまり時系列としては「o1の誕生→アルタイ語との接触→i2やe2の誕生」という順番だと思ってる
だから、ツングース語のoは日本語との接触時点で既に生まれていた日本語のo1に対応したはず
一方で、apuy→apo1y→po1i→pi2(火)のように明らかにuの低舌化によってo1が生まれたと考えられる例もあるから、o1の起源は低舌化と母音融合の両方だろう
>日本語の母音調和時代にo1の一部がo2に合流し、その結果「o1の出現率が見かけ上少なく見える」という現象が発生
>>450を書いた時からu"に関してはわりとはっきりとo2に対応するのにoに関してはo1に対応する場合とo2に対応する場合があったから不思議に思ってたけど、こう考えれば納得がいくね
何故そうなったのかはこれから考えてみるけど、魏志倭人伝の頃の日本語が上代日本語とは母音体系的にはかなり違うものだったのは間違いないと思う
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- 809
- 2014/03/18(火) 01:03:24.88
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魏志倭人伝の日本語と上代日本語で母音体系がかなり違うと言い出すと、
魏志倭人伝は当時の九州方言を採集したもので、上代日本語の畿内地方と違って当然と言い立てる人がニヤニヤしながら出てくるんで、
そこらへんはみんな避けてるよね。言語学の話をしてるのに、歴史学というか考古学の人たちが引用してへんなとこから矢がとんできて、
民俗学やら考古学やらが入り混じったカオスワールドの邪馬台国がどこにあったかっていう話に引きずり込まれる
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- 810
- 2014/03/18(火) 07:12:59.42
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>>807で「有坂法則が生まれたのは不思議」って書いたけど、俺は有坂法則は最初期の日本語では多分文法的な意味を持ってたと理解してるんだ
そう考えるようになったからこそ、上の方で何度も主張した有坂法則のアルタイ起源説を撤回したんだけど
a⇔o2の関係は対立というよりもむしろ文法要素じゃん
例えばkarasu⇔ko2ro2suのような同源と思われる交替語がいくつもあるし、有坂第三法則は大昔には派生語を作るための文法システムだったんだと思う
分からないのは第二法則
第一法則に関してはo1がuの低舌化で生まれたからってことで説明が出来るから、つまり有坂法則はo2とa,uの対立と言えるけど、どうしてuとo2が対立するのかが分からない
uとo2にはaとo2にあるような強い関係性なんて無いと思うし、少なくともこれが第一法則のように文法要素として機能してた痕跡は残ってないと思う
だからといって、子音体系が簡略化された結果母音にかなりの機能負担が掛かってたはずなのに、ただ発音しにくいって理由だけでこういう法則が生まれるのは不自然に感じる
>>797
u1,u2説について少しだけ考察してみた
一語例に出すなら村山はツングース語uyu→日本語o2yo2guの対応を主張してる
俺は>>567で書いた通りツングース語のuには日本語のuが対応すると考えてるんだけど、
実際大半の単語ではu:uだけどこの例みたいに少数ながらu:o2の対応を見せる場合もあるらしいのは確かみたい
この多重対応の理由は分からないけど、何故か有坂第二法則が存在しているように日本語のuとo2の間には何かしらあるような感じはする
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- 813
- 2014/03/21(金) 00:08:09.47
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*CuCo2>CuCo1
みたいな変化はあったかもね
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- 390
- 2014/03/21(金) 06:22:51.26
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うわ、後から見なおしてみると第一、ニ、三の指し示し先が無茶苦茶だな。
第一がo1←→o2
第二がu←→o2
第三がa←→o2
の対立だったね・・・
ところでapuy→apo1y→po1i→pi2この流れだけど、poってpo1とpo2の区別ってどうやってつけるんだっけ
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- 815
- 390
- 2014/03/28(金) 19:41:39.74
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上の話が中途半端なんで少し進めて書いてみる。
apuyって単語は日本語のpoiよりどう考えてもアイヌ語のapeに近いよね。
つーわけで、こういうミッシングリンクを考えてみた
Sapuy [AN祖語]
│
apey [ミッシングリンク]
│└pey─pəy─pi2[OJ]
ape [アイヌ語]
o2を更に遡るとeになるっていう説は結構魅力的だと思うけど、
裏付けとなるべき日本語o2とアイヌ語eが対応してる借用語が他にみつからないんだよね・・・
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- 816
- 2014/03/30(日) 22:02:32.62
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>>815
o2は5母音体系から見た場合曖昧母音だから、それがたまたまアイヌ語ではeに吸収されただけだと思う
日本語ではo2はo1に吸収されたけど、o1じゃなくaやe1に吸収されててもおかしくはなかっただろうし、偶然としか言いようがない
日本語とアイヌ語の間に系統的な関係は無いと思う(あるなら朝鮮語以上に日本語に似てないのはおかしい)
ただ、太古に5母音を想定する場合a,i,u,o2,o1という5母音体系が安定するのかという問題はあるよね
これだとo2だけが曖昧母音になるから長期間音素を保てるか分からない
俺はo2はAN語の母音をそのまま上代まで受け継いだと思ってるからo2の古い音価がeだとは思わないけど、
もしかしたら一度音価がeに変わったのが上代の直前に生まれたe1に押し出されてまた元の音価に戻った可能性も無くはないと思う
それから、apuy→po1yに関してはuの低舌化を前提にしたただの推測です
apu+ruで炙るという動詞があるから、日本語にapuyという単語がかつて存在したのは間違いない
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- 818
- 2014/04/02(水) 00:31:43.85
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>>817
また話がそれてしまうけど、何故o2がi1と混乱してるんだろう
i2とe2がi1と混乱するのは自然だけど、o2って5母音話者の感覚からすればaとuとoの中間であって、i1とはかなり遠いと思うんだけど
そういえば、書いてて気になったけど上代のe1ってiaの母音融合だからかなりはっきりと唇を平たくする音で、
唇を平たくしないまま発音する現代の標準語的なeとは違うよね
aiの母音融合であるe2は標準語のeみたいな音だったと思っていいのかな?
これだとe2は曖昧母音扱いになるから、よりはっきりした発音を持つe1に吸収された理由が分かる
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- 819
- 390
- 2014/04/02(水) 06:38:57.96
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森推定音ではe1がe、e2がəiなんで、e2の方が曖昧かつ二重母音なんで、はっきりした音素の方に吸収されたのかもね
日本語が音節→拍に移行する際に、二重母音が嫌われたっていうのもあるかも
中部方言の方であいまい母音が全部同じ音に統一されてる問題としては、
その実はi1があいまい母音になってしまう現象みたいに見える
現代の日本語でこんな方言ないんで頭ひねるだけだけど。。。
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- 820
- 2014/04/02(水) 19:59:53.80
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「来あり」→「けり」のようにe1の少なくとも一部がia由来であること、
「せ」「ぜ」が森推定音で口蓋化音と推定されていることから考えると、
上代の時点ではやはりエ段甲類の音節は全て口蓋化していたんだろうか。
「て」はティエ、「ね」はニェのように。
これをはっきり否定した推定とか、否定できる根拠ってある?
漢字語でエ段拗音が発生しなかったことも、当時のエ段甲類が口蓋化していたと考えると説明しやすいし。
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- 821
- 2014/04/02(水) 20:18:33.81
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>>819
e2が二重母音だってことは、e2が母音融合が終わってから生まれたかなり新しい母音要素だってことになるよね
ko2+i→ki2(木),to2ko2+ipa→to2ki2wa(常磐)など、o2とi1が融合するとi2になる場合がある一方、
to2no2+iri→to2ne2ri(舎人)という例もある
常識的に考えれば前者の方が古い対応だし、このことから日本語の母音が生まれた順番が「a,i1,u,o2→o1→i2,e1→e2」であることが分かる
e2が二重母音なのも、e2が生まれた頃には既に日本語では二重母音が排除されなくなってたんじゃないかな
上代中部方言のi1に関しては、この方言ではi1が現代標準語に近いような、唇が丸いまま発音する音になってたとか?
それならi1とo2が合流してもまだ不思議じゃないと思う
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- 824
- 2014/04/08(火) 12:21:56.30
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>>823
e2が最後に出来たんじゃないかって言ったけど、o2+iがi2になってることからするとe1もi2より後に出来たんじゃないかな
普通に考えたらo2+iって融合したらe1になると思うし、事実o2とiの連続母音だったe2は後に融合してe1になってる
なのにより古い時代ではo2+iがi2になっていることからすると、この頃にはまだe1も存在しなかったのでは?と思える
最初にa,i,u,o2があり、o1が生まれ、i2が生まれ、e1が生まれ、最後にe2が生まれたというのが日本語の母音の成立過程なんじゃないか?
表現に語弊があったかな
標準語のiって関西弁とか韓国語のiみたいにはっきりと唇を平らにしないじゃん?
それのことね
上代の日本人の感覚からすれば、標準語のiは多分曖昧母音に聞こえるだろうなと
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- 825
- 390
- 2014/04/09(水) 06:55:47.18
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概ねいい感じだと思うけど、古代の音韻が中舌〜後舌に偏りすぎじゃね?
[i][ə][ua]→[i][ə][uoa]→[i][ɨə][uoa]→[ie] [ɨə][uoa]
前から俺主張してる通り、こんな感じだと自然なんだけど
[ie][uoa]→[ie][ɨ][uoa]→[i][ɨə][uoa]→[ie] [ɨə][uoa]
eがəに変化したあたりで、[i][ɨə][uoa]この母音体系の前舌に空きが生じて
e1やらe2が発生する起因を与えた
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- 826
- 2014/04/09(水) 12:19:16.03
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>>825
森推定音によれば上代のaは今と違って中舌母音だったようだし、バランスは取れてると思う
前舌i、中舌a,o2、後舌u,o1で上手く割り振られてるし
日本語の歴史から考えればi2,e1,e2は後代に生まれた母音であって、8母音体系のバランスがおかしいことは何ら不自然なことではないはず
むしろ、>>732で書いた通り不安定で不自然な母音体系だったからこそ8母音体系は2、300年で崩壊したんじゃないかな?
古い時代にo2の音価がeだったというのには同意できない
俺は日本祖語の母音は大野説の通り4母音だったと思うし、日本語のo2の起源は明らかにAN祖語の母音をそのまま受け継いだものであり、日本祖語の時代から既に上代と同じ音価だったはず
日本語と特に関係が深いと思われる西マラヨ・ポリネシア諸語における母音体系の推移の傾向から類推すればo1が誕生した前後に一時的にo2の音価がeに変わって、
現代と同じaiueoの5母音体系だった時期が上代以前にもあった可能性は十分にあるけど、でもそれだけじゃo2の音価がeだった時期があると内的再構をするにはいささか根拠が薄い
ある程度根拠をもって言えるのはa,i,u,o2,o1の5母音体系だった時代があったということまでだと思う
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- 827
- 390
- 2014/04/09(水) 21:18:26.68
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>>826
> 森推定音によれば上代のaは今と違って中舌母音だったようだし
これまた『日本書紀の謎を解く』からの引用で申し訳ないんだけど、コレしか持ってないから許して。
p82に「α群ではマを除いて前舌[-a]韻の字を一切用いず、奥舌[-ɑ]韻を常用しているのです」
って書いてるから、森推定音では奥舌だ。
ただ、すでにe1もe2もある8母音時代の話なんであんま参考にならんかも
あと、日本祖語が4母音だったっていう話の根拠が「AN祖語では4母音だった」っていう話くらいしか出てなくて、
それって本来
・日本祖語が4母音だった→AN祖語も4母音である→日本祖語はAN祖語と同根である
って論理で進めなきゃいけないところを
・AN祖語が4母音である→日本祖語はAN祖語と同根である→日本祖語も4母音であろう
っていう進め方になってない?って気がする
あ、あとそもそもAN祖語がaəuiの4母音だっていう話の出典もわからん。
これは俺が勉強不足なだけだけど。
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- 829
- 2014/04/18(金) 02:49:43.95
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>>829
質問スレいけや、ドアフォ
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- 830
- 2014/04/22(火) 15:34:07.07
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>>827
ごめん、aが中舌っていうのは訂正する
まさしく上代以前、まだi2が生まれてない頃にi・o2・u,o1,aという5母音体系だった時代があるはずなんだよね
日本祖語の母音に関しては、大野晋の4母音説が根拠
出現頻度とか文法要素との結び付きから見て日本祖語がa,i,u,o2の4母音だったとするのは説得力があると思う
AN祖語の母音体系はBlustの再構で、ほぼ定説になってるよ
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- 831
- 2014/04/22(火) 15:56:41.93
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それから、>>824で母音の誕生した順番に触れたけど、それに関して一つ思いついた
ma(目)→miru(見る)、ya(矢)→(y)iru(射る)、yu(湯)→(y)iru(鋳る)のように、古代の日本語にはa,u→iという母音変化をしたと思われる語彙がある
でも、この母音変化は不自然だし突然a,u→iという変化が起きたとは思えない
じゃあ何故こういう対応になってるのかだけど、古い時代にはこれらの動詞のi1はi2だったんじゃないか?と思う
古い時代にはmaにiが付いてmaiという動詞として活用されていたのがi2が出来た際にaiが融合してi2になり(まだ日本語にe1やe2が存在しなかったため)、i2がどこかの時点でi1に変化した
そしてこうして生まれたmiという語幹にruが付けられて現在のmiruになった
かつてmaがそのまま「見る」という意味の動詞の語幹として使われていたことはnaga+mai(眺め)という単語の存在から証明される
また、i2→i1への変化については、村山説によればwi(井)、wi(猪)などは元はi2だったのがi1に変化したとされる
>>803のo1→o2の変化があったという説に刺激されて考えてみたけど、これだけの根拠があれば古代の日本語においてi2→i1の変化があったことはそれなりの説得力で主張出来ると思う
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- 832
- 390
- 2014/04/23(水) 03:35:01.21
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>>830-832
Blustね。ありがとう。
http://en.wikipedia.org/wiki/Proto-Austronesian_language#Blust.27s_reconstruction
こっちに名前載ってたわ。
コレ見るとほぼ4母音で問題ないっぽいすね。
子音の方はかなり上代日本語とかけ離れてるけど、これどういう対応が想定されてるんだろ。
ちなみにi2→i1に変化したと思われる例としては、他にも
黄泉(被覆形yo2mo2:露出系yo2mi) 奥:沖(被覆形oku:露出系oki1)
があるっていわれてるよね。来(未然形 ko2: 連用形ki1)もこの仲間かもしれん。
古いi2は由来が古い分、統合真っ最中だったのかもなー。
ちなみに832で出された例が全部上一段活用なのが気になるけど、
これが何を示唆してるんだかちょっとわからない。
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- 833
- 2014/04/23(水) 15:20:05.00
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>>832
村山説をベースにちょっと修正してみたけど、大体こんな感じ
不明なものはAN祖語における出現頻度が稀か、もしくは日本語と関係ある語例の数が少なくて対応が分からない
p→p t→t、もしくはs
k→k q→消失
b→p d→t
D→不明
g→k j→不明
m→m n→n
gn→不明 ng→n
S→消失 s→s、もしくはt
h→消失 C→s?
c→s z→s
l→r、語頭ではt
N→r r→r
R→消失、もしくはy
w→w y→iに合流?
v→w
問題点としては大きく2点で、tとsが多重対応してるのとR(フランス語のrと同じ音)が多重対応してる点
前者に関しては、日本語におけるtとsの混乱(fusagu⇔futaguなど)が理由の一つだと思われ、残りは泉井説によれば該当する単語に前鼻音化を仮定すれば解決できる
(ms→t、mt→sという対応を想定する)
なので大きな問題は無いけど、まずいのはRの多重対応
Rが消失したと思われる語例が大量にある一方で、Rがyに変化したと思われる例も同じくらいある
しかもtuyu(露)とtu(血)のようにRが消失した場合とyに変化した場合のダブレットまでも存在してる
これに関してはこれといった条件も見つからない不規則対応だから本当にまずい
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- 834
- 2014/04/24(木) 15:11:42.05
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>>832
つまり、i2はe1やe2より起源が古い分混乱して統合されるのも早かったってこと?
木(被覆形ko2、露出形ki2)みたいな明らかに古い起源を持つ語彙でもi2が見られるから、単純にi1とi2が統合されかけてたかというのには疑問がある
とは言っても木と語幹の形が同じ来(ko2)はi1になってたりするし、俺もどういう条件でi2→i1の変化が起きたかは思いつかないけど
日本語には全く関係ないけど、Rとrの関係って面白いね
AN語(主にインドネシア諸語)ではR→rの変化が起きたけど、フランス語では逆にr→Rの変化が起きた
このことはなかなか面白い
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- 835
- 2014/04/24(木) 20:09:44.80
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日本語祖語をAN語との関係で見ていく場合、地理的にはAN語の故地は台湾近辺というか、台湾と過程したら、
やはり、台湾→沖縄→日本(九州→近畿?)という流れになるのだろうか。まぁ、それでも、日本語には北方系の要因も多々あるので、
台湾→沖縄→九州?あたりで、クレオール言語としての日本語祖語は生まれて、そこから沖縄に南下したのかも知れんが、
トマ・ペラールの「日琉祖語の分岐年代」
http://www.academia.edu/2374529/_
で、日本語祖語を上代日本語からの内的再建で4母音体系(大野1977)してるけど、日本語と琉球語の比較からいえば、
日本語祖語は6母音だよって言ってるんだよね。簡単にいうと、上代日本語のイ甲が琉球語では、イとエに、
ウがウとオに分かれると。上代日本語から大野が再建した4母音と、AN祖語でブラストが再建した4母音を比較する場合、
その通り道にある琉球諸語を取り込んで母音体系を再建すると、6母音になりますよって言われると、
AN祖語の4母音と大野が上代日本語から内的再建した日本語祖語の4母音をダイレクトにつなぐような議論はちょっとどうかな。
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- 836
- 699
- 2014/04/24(木) 21:07:16.05
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久々に参上w
大変申し訳無いが、399説(の立論の方向性)に正直関心がないので、
(俺にはどうでもいい議論に見える。特にo1の意義。単に過渡期の一つの形なだけじゃね?)
暫くたまにromってたんだけど、>>835が面白そうなので。
ペラール説的な発想は、少なくとも、たたき台としては重要かもしれない。
この発想、そのすぐ後のアクセント論でも明確なんだけど、
「謎の区別があったら、未知の音素を、必要なだけどんどん立ててしまおう。
音素が大インフレを起こしても、とりあえず構わない。精査はその後すればよいのだから。」
という考え方になる。
早くから精査し過ぎると、見落としが出てくる可能性が否定出来ないから、
とりあえず「大インフレ論」は、非常に重要な視点になると思う。
大野4は、確かに精査しすぎかもね。
なお、AN説については、台湾→南西諸島→九州というルートを想定する人は、実はあんまりいない。
大陸の祖語が、江南から直接九州、または朝鮮のフェリー沈没のあたりを経由、という説が多い。
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- 837
- 2014/04/24(木) 21:16:17.91
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>>835
それについてなんだけど、考古学によればAN民族は台湾から先島諸島までしか北上してないんだよね
先島諸島と沖縄諸島の間にはかなりの距離があって、古い時代の人々はこの距離を航海できなかったらしい
だから台湾→沖縄→九州という流れではない
他のルートを考えると、AN民族が中国南部から台湾に渡る際に日本にも渡ってきたという可能性も考えられる
(つまり、AN祖語と日本祖語が共通の祖語から派生したという考え)けど、これだと日本語と西MP語族との顕著な類似を説明できない
じゃあどのルートで日本に来たかというとそれも難しいんだけどね
でも、少なくとも沖縄は通ってないのは確実だし、定説通り琉球語は日本語から後世に派生した言語と見なして問題はないと思う
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- 838
- 699
- 2014/04/24(木) 21:42:53.33
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さらにペラール説に関連して。
俺が気になるのは、もう一つ「山口佳紀説」なんだよね。
俺は、個人的な思考スタイルとして、母音三角形から「幾何学的」に考える癖が強く、
母音の組み合わせから、いわば「代数学的」に考えるのは、正直とても不得意。
山口説は、俺は何から何まで頭を抱えてしまう難解な説なのだが、
彼の説は「徹底して代数的」なので、
俺の手が届かない、何かの重要な説明をしているような気がしてならない。
俺は琉球方言も得意じゃないので、苦手なもの同士になるんだけど、
ペラール説と山口説の交点に、何か重要な鍵があるような気がする。
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- 839
- 2014/04/25(金) 11:12:05.67
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言語資料が比較的新しい時代の琉球諸語を根拠にして日琉祖語が6母音として再建するのは無理があると思うんですが・・・・
このペラール説というのは斯界で広く受容されてる学説なんですか?
アマチュアの私は初めて知ったけど。
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- 840
- 2014/04/25(金) 18:27:59.20
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つまり
AN祖語(4母音){ブラスト推定}
AN祖語祖語<
日本語祖語祖語(江南あたり?)↓
上代日本語祖語(4母音){大野推定}
日本語祖語(母音数不明){ペラール推定では6母音}<
琉球諸語祖語(6母音){ペラール推定}
うーん、ペラール説は琉球諸語の問題とするしかないのかな。
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- 841
- 390
- 2014/04/26(土) 07:12:02.49
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>>840
分岐はもっと新しいところにくるんじゃないかな?
「日琉祖語の分岐年代」のpdf見ると、「上代東国方言や八丈語の資料も*eと*oの再建を裏付けている」
とあることから、上代東国方言の分岐時にはまだ6母音の痕跡を残していると見るべき。
(たぶん形容詞や動詞の連体形「長け」「行こ」などのことを言っていると思われる)
日AN祖語
↓――――――――――――――――――↓
日琉祖語(江南あたり、6母音) AN祖語(4母音){ブラスト推定}
↓――――――――――――――↓
上代日本語祖語(6母音) 琉球諸語祖語(6母音)
↓―――――――――↓
近畿方言祖語(4母音) 東国方言祖語(6母音)
↓ ↓
近畿方言(8母音) 東国方言(5母音)
こうかと。
分岐不明の音変化が出たら新しい音を再興すべき、っていう考えは比較言語学の王道だけど、
ちょっと今までの常識とはかけ離れてるよな。
>> 838
米の伝達もそのルートらしいね。
ただいつも思うのが、先島諸島〜沖縄本島を渡れない連中が江南〜九州みたいな
遣唐使の時代だって死ぬルートを渡れるのかっていう疑問。
>> 837
いや、他の人も興味なかったみたいだよ。正直すまんかった。
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- 843
- 2014/04/26(土) 09:36:27.63
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日本語とAN語族が同系統であることなんて定説にもなってないのに、そっちの4母音の説明の都合が悪くなるからって、
明らかに同系統であることが証明されてる琉球諸語との比較で出された6母音説をすぐ否定しようとするのは態度としてどうなの?
まずは日本語と琉球諸語の語形をきっちり説明できる祖語を再構するべきで、
AN祖語との比較はそれからやることだと思うんだが。
村山に悪く言えば傾倒してる人が多いようだけど、そういう議論をするならまずは日琉祖語の土台を固めてからじゃないかい?
ペラールの説はちゃんと比較言語学の王道の手続きに沿ったものだと思うし、「行き過ぎ」とか「常識とかけ離れてる」っていうのはどうかな。
6母音なら「大インフレ」と言うほどでもなく普通に有り得る母音数だし。
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- 844
- 2014/04/26(土) 10:26:00.18
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本土の諸方言を総合しても基本的に5母音であって上代の母音体系(仮に非5母音だとして)にたどりつけないのに、
同じぐらい時間たってる流求から6母音だとどうして分かるものなの?
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- 845
- 2014/04/26(土) 11:31:50.99
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>>844
本土の諸方言が分岐したのよりも琉球諸語が分岐したほうが古いんだから、
琉球諸語にのみ残ってる痕跡があっても全然不思議じゃないと思うけど。
「同じぐらい時間たってる」わけじゃないだろう。
本土方言の発音を比較しても、鎌倉時代より前に遡ることは難しいけど、
琉球諸語には本土での奈良時代以前に遡る特徴が残っている。
例えばイ・エ・オとヰ・ヱ・ヲの区別とか、ハ行のp音などは
本土方言には一切残存していないが、琉球諸語には残っている。
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- 846
- 2014/04/26(土) 13:49:02.22
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>>840-842
日本語とAN語の分岐がそんなに古いのはあり得ない
仮に中国南部で共通祖語から日本祖語とAN祖語が分岐したなら、日本語はもっと台湾諸語に類似していなければおかしいはず
しかし、実際には日本語の子音体系は台湾諸語とはあまり対応しないし、台湾諸語との対応語も少ない
子音体系に関しては複雑なAN祖語からスタートして日本語以上に単純化したポリネシア諸語の例もあるから問題ないけど、対応語の少なさに関しては説明がつかない
日本語はもう少し時代を下った、西MP語族からの分岐と考えるのが妥当
フィリピンやインドネシアの諸語と同系だろう
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- 847
- 2014/04/26(土) 14:28:11.81
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しかし、ANの原郷は台湾と推定されていて、
フィリピンは台湾の南で、日本は北なんだよね。
地理的にちょっと難があるよね。
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- 848
- 2014/04/26(土) 15:50:08.94
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黒潮に乗ればフィリピンから日本まで直通で来れるんじゃないかな。
北欧のヴァイキングが北海から地中海のシチリアまで大航海して建国した例もあるんだし。
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- 849
- 2014/04/27(日) 15:56:30.61
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ベラール説とやらが俺は観れないんだけど、
観てもいないのにものいうのも気が引けるんだが(そのURLを踏むと、承認しますか?とかいろいろ出てきて、承認しますってしても見れない)、
どうやって琉球諸語を6母音と認定したのか説明してくれないかな?
おもろそうしは日本語の仮名表記されてるはず、たとえ、琉球諸語が100母音あろうとも、琉球諸語は5母音としか推定できないぞ。
いや、見れない人間が文句を言ってもおかしいけど、5母音しか表記できないかな文字を借用した琉球諸語からどうやって6母音という話が出てるんだ
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- 851
- 2014/04/27(日) 19:28:55.58
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>>849
「おもろさうし」という文献資料に頼るのではなく、
どちらかというと現代琉球諸語から琉球祖語を再構し、
それと上代日本語(およびその内的再構から導き出される日本祖語)を比較して、
日琉祖語に存在したと思われる母音を再構している。
琉球諸語の多様性を甘く見ていないか?
「おもろさうし」だけではあくまで沖縄語(沖縄本島南部およびその周辺の言語)の古態しか分からない。
しかし、奄美語から与那国語までの現代諸語に共通して見られる特徴があれば、
それは琉球諸語の分岐した年代(すなわち琉球祖語の年代)に遡る可能性が高いと考えられる(共通改新と考えられる場合はもちろん除く)
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- 852
- 2014/04/27(日) 19:35:06.56
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>>850
「琉球方言の分岐は9世紀〜10世紀とするのが定説」って、何を言ってるんだ?
確かにそういう説も無いわけでもないが、様々な説の中でかなり新しいほうに推定した下限の説だろう。
昔から古墳時代あたりの年代に推定する説が多いし、上代語や、それより古い形を残したと考えられる形態も多い。
少なくとも8世紀の時点で分岐していないと説明できない言語事実が多いのだから、9〜10世紀というのは信じがたい説だ。
どうもこのスレの人、AN語説には熱心な割に、琉球諸語についての基礎知識を欠いている人がいないか。
まずは日本語族の中で足元を固めておかないと、他の語族と比較なんてできないだろう。そこはしっかりしてほしい。
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- 853
- 2014/04/27(日) 20:04:44.68
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アン語て、何でんねん?
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- 854
- 390
- 2014/04/28(月) 07:35:12.23
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>>852
分岐の根拠を9世紀くらいに持ってくる説の根拠は、だいたいの場合ハ行転呼音が琉球諸語でも見られることによるものだと思う。
これだけ素直に観察すると、分岐年代は9世紀近辺に持っていかざるをえないんだけど
一方でエとイェの区別に相当するものを持っていたりと、古い時代の言語現象の残存も多いんで、みんな悩んでるところなんだ。
で、今までの俺の知識だと、琉球語は5母音になってからの音変化しか遡れない、と思ってたので
さっき見たペラールの説がにわかには信じられないわけよ。
850-851にあるとおり、URLから見れる情報には概略しか載ってないんでもうちょっと根拠がほしいなと。
853は琉球語に詳しそうなんで、基礎知識がつかめそうな書籍とか、
あるいはペラールの一番よさげな論文とか情報持ってきてくれない?
俺もむっちゃ興味ある。
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- 855
- 2014/04/28(月) 07:59:07.07
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7世紀に日本祖語から分岐しましたね。
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- 856
- 2014/04/28(月) 22:22:03.07
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>>854
「9世紀近辺に持っていかざるをえない」「みんな悩んでる」って、そんなこと本当に言えるだろうか?
9世紀説を支持してる人ってほとんど見たことがないが…
ハ行転呼は結局「語中での有声化」「語中での摩擦の弱化」というごく普遍的な音韻変化の組み合わせ。
よくある音韻変化が共通に見られるとしても、「共通改新」と捉えて何の問題もない。
ハ行のp音の保存、ア行エとヤ行エの区別の保存、イ・エ・オとヰ・ヱ・ヲの区別の保存など、
これらは9世紀よりも前に分岐したと考えないと説明できない。
例えばゲルマン祖語の *īsą は英語でもドイツ語でも /aɪs/ になっているけど、
これをもって英語とドイツ語の分岐は17世紀以降だとは言えないし、
北京語でも広東語でもいわゆる尖団の区別が失われて合流しているけど、
それをもって北京語と広東語の分岐は清代以降だとは言えない。
さらに言うなら、ハ行転呼に限ったって、琉球諸語では「大」(おほ)を「ウプ」「ウフ」のような語形で残している方言が多いという事実がある。
円唇母音 /o/ に挟まれた環境では /p/ がハ行転呼を受けずに残った例と見られる。9世紀以降の分岐とするとこの説明は難しい。
あと、根拠としてはだいぶ弱くなるが、言語年代学的な推定でも琉球諸語と日本語との分岐は9世紀よりかなり古い結果になることが多い。
誤差も大きいから何とも言えないけど、一般的に考えても、分岐から1000年強にしては基礎語彙の違いが大きすぎる。
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