上代特殊仮名遣い 二音目 [sc](★0)
-
- 1
- 2012/06/23(土) 20:31:32.19
-
前スレ:上代特殊仮名遣い
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/gengo/1305988303/
立てた
-
- 549
- 2013/10/11(金) 22:51:05.11
-
上代以前に仮に格助詞がなくて孤立語的だった場合、
SOVの順序はまぎらわしいと思うのだがそのあたりはどうなの?
SOVの孤立語は人を目的語として二つとるときにその関係を表しわける手段を
別に持たないといけないと思うのだが、
格助詞なしで語順の制限も見られないんじゃ欠陥じゃないか。
-
- 551
- 2013/10/11(金) 23:16:14.22
-
>>549
アイヌ語がそうだな。
主格や目的格を表す助詞は無く、語順はSOVが普通だがOSVも可。
3人称以外では動詞に義務的に人称接辞が付くが、3人称はゼロ接辞なので、
主語目的語が全て3人称の場合、判別は文脈に依存するしかない。
場合によっては副助詞eunで間接目的語を表すことも可能だが
使役は動詞接尾辞以外に表す方法が無くeunは使えない。
-
- 552
- 2013/10/11(金) 23:17:51.33
-
ここの「吾妻」って「あづま」それとも「あがつま」?
-
- 553
- 2013/10/11(金) 23:51:29.02
-
>>548>>552
それも重要な話だと思う。連濁というのは接辞の名残と理解できるから、
「あづま」とは、つまりa-N-tumaであって、
アルタイ的に言えば属格接辞、AN語的に解釈すれば「なんとなくリンカーっぽいもの」が挟まっている。
だから、「あづま」といえば、「私の妻」一択なんだろうと思う。
"a N tuma"つまり「あづま」が「私の妻」、"A tuma."つまり「あ・つま」が「私は妻である。」なんだろうなあ。
>>551
ただ、アイヌ語は、代名詞、再帰っぽい働きをする代名詞、冠詞的な代名詞などが、抱合接辞化するので、
できる限り代名詞化して、「抱合の外にある項数」を減らすことができる。
これが、アイヌ語が抱合語であると言われる所以。
現実的には、SとOのわかりにくさも、こうやってかなりの部分、解消したのだろうと思う。
-
- 554
- 2013/10/12(土) 00:03:32.66
-
ワとア(我・吾)に関してだが、それこそ、弱形と強形だったのではって思った。
英語の不定冠詞はaだが、これはoneという数詞のワンの弱形のアだし。
ふと、おもった。
あと、ここでもさいさいでてくるロゼッターストーンさんによると、
汝のナムヂのナは一人称の所有で、マイダーリンのマイがナだったとか。
ナセはマイブラザーかマイハズバンド、ナニモは、マイシスターかマイワイフ。
と、言われれば、そうかもってね。で、ナが一人称なら、N+ア(一人称)だけど、
接頭辞としてNを考えれば、〜のっていう、私の、彼の、君の、っていうのノが接頭辞Nの正体では?
って、言っても、君が代のガが〜の、の意味だし、君が代のさざれ石の、のノは、さざれ石ガの意味のガだし、
これは上代ではダメな思い付き理論かな、まぁ、おもいついただけ。
-
- 555
- 2013/10/12(土) 00:11:13.80
-
>>554
ナが親愛を表すなら、たとえば身分が上の人とか、
動物とか、敵対する部族の者とかにナを使っている例があれば一発でアウトだから
それはそれで分かりやすいと思うね。
-
- 556
- 2013/10/12(土) 01:19:15.95
-
>>553
連濁は「単語が連続していることを表す指標」だろ?
人々・国々みたいなものの連濁は属格接辞では説明できない。
とはいえこれ以上文法の話を続けるとさすがにスレ違いだな。
動詞活用の起源くらいまでなら上代特殊仮名遣いと関係はあった
-
- 557
- 2013/10/12(土) 04:57:06.69
-
>>556
連濁は母音調和とかと同じで文法的な意味を持たない単なる発音上の習慣だと思う
上代語にあった布々(しくしく)とか、重複しても濁らない単語もあるし
-
- 558
- 2013/10/12(土) 10:05:19.10
-
そういえば属格の「の」は他の助詞とは違って、アクセントが主要部の影響をうけたり母音調和の影響を受けて「な」になったりするんだよね
こいつだけ結合度が高いのは不思議だ・・・
-
- 559
- 2013/10/12(土) 17:57:11.43
-
>>513の話に戻してみよう。
終止形語尾が独立して「降」、連体形語尾が独立して「高」のアクセントを持っているため
終止形は「-u(低)」連体形は「-u(高)」または「-ru(高)」に当たる接辞が付属して作られたとかんがえられる。
そこで、連体形の接辞は本来-uか-ruかという話だけど
(1)四段動詞では-Cruという形で、子音重複を忌避するようになった時代に-Cuに形になった
(2)四段以外の動詞では-Vi1 + -u という形だったが、さすがに母音が3つ続くと苦しいので -Vi[渡り音r]uという形をとった
のどちらかになると思う。
俺としては、一段動詞の終止形が-i1i1[渡り音r]uという形をとっていたと考えているので
それと相性がいい(2)の考え方の方が正しいと思う
-
- 560
- 2013/10/12(土) 18:01:10.77
-
>>533の考え方をベースに>>461を修正してみた
俺が想定する日本語の形成過程はこんな感じなんだけど、突っ込み所があったら指摘してほしい
1.日本祖語時代
マラヨ・ポリネシア祖語から分岐して誕生
祖語のアクセントをほぼそのまま継承
a,i,u,eの4母音体系 語末子音あり -iが機能
動詞語幹への-iの接続により連用形が発生 助詞「の」が誕生
接頭辞や接中辞などの、AN語的なフォーカスシステムが機能
語順はVSO
膠着語
2.五母音時代(1)
インドネシア諸語と類似した変化により接頭辞が化石化
接中辞は消滅し膠着システムが一度崩壊、孤立語的な文法に
(恐らく膠着システムの崩壊による文法の単純化を補うために)uの低舌化からoが発生
a,i,u,?,oの5母音体系 語末子音あり -iが機能 語順はVSO
孤立語
-
- 561
- 2013/10/12(土) 18:01:45.54
-
3.ツングース語との接触
ツングース語が日本語に流入
それにより語末子音が消滅 語順がSOVに変化 -iが化石化
助詞の大半はこの時にツングース語をベースに誕生
母音調和もこの時に発生
陽母音[a,o] 陰母音[?] 中性母音[i,u]にカテゴライズされる
a,i,u,?,oの5母音体系 ツングース起源の動詞接尾辞-riが機能
-riや助詞が動詞の語尾に付き、連用形以外の活用形が発生 形容詞はツングース語でも無変化詞なので活用が生まれなかった
助詞の大量発生と接尾辞の誕生により再び膠着語に
4.八母音時代
iが後続するrが消滅したことにより主に動詞の語尾を中心に連母音が大量に発生
ai→e2、ui,?i→i2、ia→e1が生まれる
母音が増えたことにより母音調和が崩壊 a,i1,i2,u,e1,e2,o1,o2の八母音体系に
5.五母音時代(2)
八母音体系が崩壊し、a,i,u,e,oに統合
形容詞にも活用が誕生
>>558
すぐ上の表にも書いたように俺は助詞の大半はツングース語起源だと思ってるんだが、助詞「の」に限ってはAN語のngaが起源であるという説がある(村山説)
「の」だけが独立性が低く他の助詞と異なる挙動を示すのは、他の助詞よりも「の」がずっと古い起源を持ってるからなんじゃないか?
-
- 563
- 2013/10/12(土) 18:49:26.76
-
>>559の(2)の母音が三つ続くのをさける音が
なぜrなのかというところに疑問がある。
i+母音なら[j]を入れたりiを半母音化したりするのが自然ではなかろうか。
-
- 564
- 2013/10/12(土) 19:55:47.61
-
>>562
>>450も俺が書いた(これに気付いたことでoがツングース語流入以前に遡ると考えるようになった)んだけど、
むしろ>>450の対応は>>560の表を補強する傍証になると思う
ツングース語が8母音になった後に入ってきたなら、u"はo2ではなくi2に対応するはずだし
oの発生の時期を?の時代だと考えるのは、そうすればツングース語流入前の日本語をインドネシア諸語と近い形で再構できるから
AN語として日本語を考えた場合、>>560-561のように考えざるを得ないと思う
朝鮮語については、>>540で例に出てる「uri,oi」や「sima,syəm」などの単語では明らかに日本語が古形を保存していることから考えて、
o1とuの対応についても日本語の方が古形を保ってるんじゃないかと思う
朝鮮語でも低舌化による「u→o」の変化が起きたんじゃないか?
-
- 565
- 2013/10/12(土) 21:30:25.69
-
朝鮮語は中期語以降数百年に限ればo→uの変化のほうが顕著だよ
-
- 567
- 2013/10/12(土) 22:05:50.29
-
>>566
いや、俺が想定してるのは普通に「ツングースo:日本語o1」の対応だよ
「yu(湯),du:l」や 「yuri(助詞のゆり),duli」とかの対応があるから、ツングース語のuはそのまま日本語のuに対応すると思う
具体的に言うと「o1,o」「o2:u"」「u:u」の対応を想定してる
こうやって比較的綺麗に母音が対応するからには、ツングース語の流入時点で既に日本語にはoがあったのかな、と
-
- 568
- 2013/10/12(土) 22:36:30.65
-
>>567
横レスなんだけど、いっその事、有坂とツングースを切っちゃうとか?
8母音形成後にツングースの流入ありとする。
もともと、アルタイと無関係に、4母音以来のゆるい同化法則として有坂があって、
それに、後から来たツングースが、ガチの母音調和として綺麗にハマったと。
だから、助詞が、形の上でもツングース臭いのに、有坂自体は助詞に射程が及ばない(アルタイ的には大変に奇異)と。
俺自体は、着想フレームワーク(想定する流れ)が、修正含む399系諸説と異なるので、
組み込んでいただく必要はありません。木と竹を接ぐような話になりそうだから。
-
- 569
- 2013/10/12(土) 22:49:39.37
-
>>568
「有坂法則は母音調和か?」というのは長らく議論されてきた命題で、(少なくともアルタイ的な)母音調和じゃないという主張もよくあるけど、俺自身は有坂法則はアルタイ的な母音調和の延長線上だと思ってる
アルタイ諸語を適当に見てれば分かるけど、「チュルク語→モンゴル語→ツングース語→中期朝鮮語」の順で母音調和の拘束力が緩くなってるんだよ
「仮にアルタイ語族説が成立するとすれば」最も古形を残しているのがチュルク語であることに異論は出ないと思うけど、そのチュルク語の母音調和は極めて厳格で、以下モンゴル語、ツングース語、中期朝鮮語の順に母音調和が及ぶ射程が短くなっていく
であるからには、中期朝鮮語よりも更に先にある日本語の母音調和が助詞にまで及ばなくても不思議ではないと思うし、そのことがアルタイ的母音調和を否定する根拠になるとも思えない
例えば有坂第三法則なんかはツングース語に全く同じ母音調和がある(ツングース語でもaとəは同一語根内に共存しない)し、有坂法則に関してはツングース由来の可能性が高いと思う
-
- 570
- 2013/10/12(土) 23:22:27.81
-
なぜ地理的に遠いと母音調和がゆるくなってもおかしくないっていうことになるのですか?
-
- 571
- 2013/10/12(土) 23:27:14.47
-
>>570
誰もそんなこと言ってないと思うが
-
- 572
- 2013/10/12(土) 23:32:25.44
-
>>569
その、トルコ語云々の話は、そりゃそうなんだけどさ。
トルコ語は、「語頭で8母音だが、語中語末では【4母音】」と音韻処理できるほどの、厳格な母音調和を持っている。
これはこれでいい。
そして、この厳格な体系では、中性母音というのは、そもそも出てこない。
中性が存在する、ということは、すでに母音調和が形骸化をはじめ、崩れ始めているということ。
崩れているということは、元々の祖形があるということ。
そして、母音調和というのは、順行同化の際立った例なのだから、
「元々の祖形」の段階で、きれいに順行同化が決まらなければならないし、
それが調和=母音同化を生む、唯一の力になる。
つまり、中性が出てきたら、その力はすでに失われているということになる。
翻って有坂に戻る。有坂法則は、単語の中で働いている。
つまり、単語の中で自活して働く何らかの要素だ、ということになる。
もしこれがアルタイ的母音調和なのなら、日本語史のある時点で、
上記の力が働いていなければならない。
ところが、有坂には、すでに明らかな中性母音iがある。
ということは、アルタイ的に考えるなら、これを生み出した祖形があるはず。
ところがこれは4母音では、どう捻っても説明がつかない。
普通なら、イ丙とイ丁を設けて、イ甲を分割するのが定石だが、これは完全に道無き道になる。
崩れつつある母音調和が、他の言語に横から割り込んで、
その言語の既存の単語の母音を並べ替えるって、すごく異様な話。
-
- 573
- 2013/10/13(日) 12:19:26.94
-
>>565
oが祖形だとすると日本語で「o→u」の変化を想定しなくちゃいけないけど、それはちょっと無理筋じゃないか?
日本語の方が祖形を保ってるのは明らかなんだし、それなら高麗時代の朝鮮語に日本語と同じ「u→o」の低舌化を想定した方が分かりやすいと思う
ついでに>>561を訂正
日本語の母音調和は陽母音[a,o,u] 陰母音[ə] 中性母音[i]だね
>>572
まず、ツングース語流入時点の日本語は5母音だったと考えてるんだが、アルタイ的な祖形はa,i,u,ə,oの5母音でなら再構できると思う
俺が想定する陽母音[a,o,u] 陰母音[ə] 中性母音[i]という体系は、ツングース語の母音調和体系と酷似してるんだよね
(この類似も、8母音時代以前に5母音の時代があったと考える理由の一つ)
「中性母音があるような母音調和が日本語に入ったのはおかしい」と言われたら反論のしようがないんだけど、
でもそれだけの理由で考えを放棄するにはこの対応はちょっと似すぎてて勿体ないと思う
この想定による母音調和体系は音韻の区分としてはフィン語ともほぼ同じ体系だし、個人的には母音調和の形としてそんなに不自然とも思えない
-
- 574
- 2013/10/13(日) 12:30:59.18
-
>>564>>567に補足
確かに>>560-561の表だとoが生まれたのが表の通りでもツングース語との接触時でもどっちでも特に問題は無いんだけど、
でもこの時には日本語の母音の体系は特に変わってないと思う
何故なら、仮に接触の結果によってoが生まれたのなら同じようにeとかも生まれててもおかしくないけど、日本語とツングース語の間にはe同士が対応する単語が無い
他にも、円唇前舌狭母音であるu"からはほぼ同じ音であるi2が生まれるはずだけど、実際にはu"とi2の対応は存在しないし、ツングース語のu"には日本語のo2が対応してる
にもかかわらず、ツングース語のoはa,i,uと同じように日本語とそのまま対応している
このことから見ると、日本語にはツングース語の流入以前からoが存在したとしか思えない
現代日本語が外来語を取り込む時にはどんな発音の母音も無理やり5母音体系に当てはめて取り込んでしまうけど、ツングース語流入時の日本語でも同じような感じで言葉を取り込んだんだと思う
というのが>>564>>567で言いたかったことなんだけど、言葉足らずでごめん
-
- 575
- 2013/10/13(日) 15:10:19.80
-
>>573
ちょっとまってくれ。
ツングースと断りなしに使ってるけど、どんな母音体系を議論の前提としてる?
俺の知る限り、ツングース祖語の母音体系は、ほぼ次の通りなんだけど。
ドイツ語式にeをウムラウト記号として、
i/ie
ue/u
oe/o
ae/a
これは、最新の知見だと(xsampaで暫定的に示します)
i/i_q
R/R_q
7/7_q
{/{_q
これは使いにくかろうから、記号は、註釈さえあれば、一番馴染みのお好きな書き方でかまわないから、
「横入りしたツングース語の母音体系」と、「在来母音との関係」を、具体的に示してみて欲しい。
-
- 576
- 2013/10/13(日) 15:47:04.33
-
>>575
日本語はツングース祖語から派生して誕生した言語じゃないと考えてるし、ツングース語が日本語に入ったのはわりと遅く(>>561参照)だと思ってるから、
この時日本語に入ったツングース語はツングース祖語ではないと考えてる
というか、その時点では既にツングース諸語もある程度祖語から分岐してたはず
具体的に考えてる日本語に入ったツングース語の母音体系は、満州語に近いような6母音体系
a,i,u,u"(円唇前舌狭母音),e,oの6母音だね
「a,a」「i,i」「u,u」「u":o2」「e:i」「o:o」の対応を想定してる(左がツングースで右が日本語)
満州語の母音調和は陽母音[a,o,u"] 陰母音[e] 中性母音[i,u]だし、日本語の有坂法則とかなり近いと思う
-
- 577
- 2013/10/13(日) 16:58:56.14
-
>>567
ああごめん、uとo1が対応してるのは朝鮮語の方か。朝鮮語のほうは566 3.のように元がoで、uになったのかもしれんな。
つーか朝鮮語はある時点で母音がこんなかんじで変化したんじゃない?
i→i
u:→u
o:→ɯ
a:→ə
u→o
o→ʌ
a→a
アルタイ系の他の言語の母音調和の割り当てを考えるとこう考えるとすっきりする
時期は朝鮮漢字音が形成された8世紀より前。
-
- 578
- 2013/10/13(日) 17:28:03.61
-
>>575
その最近の知見がとっても興味あります。
つーか、ツングース祖語の母音調和ってのは本来的にツングースに備わっていた何かなの?
ウラル語、トルコ語、モンゴル語、ツングース語 いずれにもアルタイ的特徴っていうのがあって、
それ理由でアルタイ諸語っていう言語にまとめられているけど、
それぞれに語彙の対応がなくて、共通の祖語から別れたんじゃなくて交流の結果似たような性質を持つようになった
っていうのが俺の知ってるアルタイ語の知識なんすよ
母音調和もそのアルタイ的特徴の一部で、それはトルコやモンゴルとの接触の結果
後から入ってきたものであるから、ツングース祖語の内的な構造から導きだされたものじゃないと考えてたのよ。
でも575の表によると、ツングース祖語の4母音に舌根後退のようなものが加わって作られたって言ってるみたいなので
そこんとこ詳しいのが知りたいなと。
-
- 579
- 2013/10/13(日) 17:57:14.63
-
大変興味深く、議論を拝読させていただいております。
すみませんが、議論する際、詳しく知りたいならこれを読みなさいっていう、
参考文献のようなものを提示してほしいです。
脇からすいません。
-
- 580
- 2013/10/13(日) 18:18:59.20
-
>>576
それだと、ツングース起源の「外来語」に、有坂が適用できる論拠にはなっても、
ツングース以前から存在する単語群に、有坂が及ぼされている理由には、
やっぱり、ならないんじゃないかなあ。
以下は、俺の母音調和の理解なので、違う見解なら、堂々と反駁論破してほしいのだけど、
真正の母音調和というのは、母音のグルーピングではなく、
最初の母音に顕現する「単語の母音式別」によって、後続の母音が、むしろ音声の上で「引き裂かれる」現象なんだよね。
本来、ツングース祖語や現代トルコ語は、音韻論的には4母音なのであって、
ただし、語頭母音に「陰陽の式別」が現れるために、後続の母音が分裂して2倍の8母音のように見える。
そして、引き裂いても同じ音になる場合が、いわゆる中性母音の原型で、
さらに、中性母音が語頭に立つ場合に、その単語の母音式が消えてゼロ式になる状態が、真正の中性母音。
俺自身は、このような性質が、語族をまたいで言語連合と化してもかまわない、と理解している。
要するに声調言語の分布のようなもので、地理的に語族をまたいで広がることも、十分にありえる。
-
- 581
- 2013/10/13(日) 19:19:25.26
-
>>580
反駁ではありませんが、
個別的な文法上の規則のマネならともなく、
以前の母音の体系の位置づけを大きく変えることになる母音調和が
他の言語にそうやすやすと取りこまれるのは無理があるのではないでしょうか。
この概念的な問題についてはどうお考えですか?
ウズベク語と長い間共存しているペルシャ語も、ウズベク語の影響はあるものの
まだ母音調和を持つ体系に移行していません。
-
- 582
- 2013/10/13(日) 19:51:13.07
-
>>580
> ツングース以前から存在する単語群に、有坂が及ぼされている理由には、
> やっぱり、ならないんじゃないかなあ。
これと
> 俺自身は、このような性質が、語族をまたいで言語連合と化してもかまわない、と理解している。
> 要するに声調言語の分布のようなもので、地理的に語族をまたいで広がることも、十分にありえる。
これが両立しないような気がする。
後から声調を取り入れた言語って、外来語だけじゃなくて固有語にもちゃんと声調をつけるじゃん?
同じく後から母音調和を取り入れた言語も、固有語にも母音調和を波及させるんじゃないか。
-
- 583
- 2013/10/13(日) 19:55:27.37
-
>>580
母音調和の解釈については、俺も全く同じ考え
音韻論から見ればトルコ語の母音は4母音で、その条件異音がそれぞれ1つずつあって8母音に見える、と
最後の2行についても同意
だから意見が食い違ってる部分は「中性母音の生まれた後の母音調和が他言語に影響を及ぼし得るか」の一点になるけど、俺は場合によっては及ぼし得ると思う
というのも、満州語の母音調和をベースに考えた場合、o2に吸収されて消えたu"の代わりにuが中性母音から陽母音に引っ張られたと考えれば日本語の母音調和は説明できる
ツングース語の流入の際に文法が別次元に書き換えられた(語末子音が崩壊、語順がVSOからSVOに代わり、接尾辞と助詞が大量に生まれ孤立語的な形態から膠着語に代わった)ことを考えれば、その時に母音調和が導入されてもおかしくはないだろう
というか、日本語に想定してる母音調和は母音調和としてのバランスは別に悪くないと思う
例えばフィン語の母音調和体系は陽母音[a,o,u] 陰母音[y,ö,ä] 中性母音[i,e]だけど、ここから5母音時代の日本語に存在しなかったy,ä,eを抜けば有坂法則と全く同じ体系になる
このことからして、日本語に流入したツングース系言語が持ってた母音調和はトルコ語程完全な形を保ってはいなかったにせよ、他言語に影響を及ぼせるくらいの厳格さは維持してたんじゃないかと思うんだ
-
- 584
- 2013/10/13(日) 19:57:53.93
-
ごめん、ウムラウトは文字化けするのを忘れてた
フィン語の体系は陽母音[a,o,u] 陰母音[a",o",y] 中性母音[i,e]ね
-
- 585
- 2013/10/13(日) 20:57:52.01
-
俺は母音調和はツングース語の影響を受けたっていう説には賛成だけど
助詞の成立はツングースとは独立にもっと新しい時代に作られたって考えてるなあ。
理由は>>513にあるとおり、アクセントにしろ母音調和にしろ助詞は付属元の影響をほとんど受けてないってこと
母音調和と一緒に助詞が作られたなら、朝鮮語のように助詞も多少はは母音調和するもんじゃない?
例外は「の」、これだけはツングース語が入ってきた時代より前にあったと思う
-
- 586
- 2013/10/13(日) 21:09:50.38
-
>>585
もっと新しい時代の成立といっても候補になる時代の幅はあまりないと思う。
奈良時代にハ、ニ、ノ、ガ、ヲ、ト、ヨリなどは存在して、ヘが成立の途中。
これだけ出そろうにはけっこうかかってるだろう。
だが西暦100年から700年まで600年しかない。
助詞成立は西暦何年から何年あたりを想定するや?
-
- 587
- 2013/10/13(日) 21:28:04.11
-
あんまり詳しくないんですが、母音調和の話でもなくてすいませんが、
助詞はアクセントの影響を受けないというけど、東京式のアクセントって、
京都式のアクセントに出だしにHがついて、押し出される形のアクセントになっていて、
名詞の語末に本来あった、押し出されたアクセントを助詞が引き受けるみたいな話ありませんでしか?
いえ、母音調和と関係ない話題でちゃちゃ入れて申し訳ありませんけど、ふと、気になって。
平安期以降に生まれた東京式のアクセントの話は、上代以前の母音調和の議論してるんだから、関係ないのはわかるんですけども、
-
- 588
- 2013/10/13(日) 21:33:01.90
-
>>585
例えば中期朝鮮語では助詞にまで及ぶ母音調和が機能してたけど、現代朝鮮語の助詞にはその痕跡が日本語の「の」に当たる助詞にしか残ってない
逆に言えば、母音調和の名残を残して2種類存在しているのは「の」だけで、それ以外の助詞は全て一つに統合されて母音調和の痕跡が消えてる
そのことから考えれば、日本語で母音調和が崩壊してから奈良時代までに500年以上の時間があったと仮定すれば、「の」以外の助詞に母音調和の痕跡が残ってないと考えても不思議ではないだろう
例えば魏志倭人伝の時代から記紀万葉までが500年程度だし、日本語が8母音体系に変わって母音調和が崩壊したのはそのくらいの頃だったんじゃないかな
-
- 589
- 2013/10/14(月) 06:29:45.85
-
>>586
一応格助詞だけを想定してみるわ。
ノ・ツ
ツングースとの接触以前から成立
西暦300年より前
母音調和あり・独自アクセントなし(ツは「遠江」で母音調和?アクセントについては未調査)
ニ・ガ・ト・ヨリ
朝鮮半島に本格進出した300〜800年くらい
-
- 590
- 2013/10/14(月) 06:39:33.00
-
あ、途中で書いちゃった。
特に「ト」に顕著なんだけど、漢文の読み下しの際に発生したんじゃないかと考えてる
つまり時期は朝鮮半島進出なんだけど、由来は中国語の介詞。
他にも漢文読み下しで発生したっぽいのに「シム」とか「ヲモッテ」とか「ヨク〜ス」あるよね、そのたぐい。
ちなみに「ヲ」「ヘ」は歴史時代はじめにはまだ完全に格助詞になっていない
「ヲ」は間投詞、「ヘ」は名詞
-
- 591
- 2013/10/14(月) 06:40:38.93
-
ところで所有格「ノ」「ツ」「ガ」、場所格「ニ」「ヘ」「サ」など機能がかぶる助詞がいっぱいあるのはあれ何だ?
-
- 592
- 2013/10/14(月) 13:27:00.09
-
上代の8母音にIPAを当てるとどうなるの?
-
- 593
- 2013/10/14(月) 17:48:19.64
-
ヨリにヨ甲(リ)とユ(リ)の形があったのは母音調和の痕跡?
>>590
ヲの間投詞用法は格助詞からの転用じゃないかな?
-
- 594
- 2013/10/14(月) 17:50:41.55
-
本筋とあまり関係ない突っ込みで恐縮だけど
満洲語をツングース語の代表みたいに言っちゃうのはどうなん?
女真族が満洲南部に南下してきたのは歴史時代もかなり経ってからで
基層には高句麗、扶余、沃沮の濊貊系諸語があると考えるのが自然だよね
濊貊語の系統は諸説あるがツングース説を取るとしても
満洲北部やシベリアの諸語とは分岐してから相当の年月が経っていたはず
-
- 595
- 2013/10/14(月) 18:39:00.95
-
580です。580には、正しく「蛇の足」が二本あります。一つは>>582ご指摘の通り(3段目最終行)。
もうひとつは、2段目最終行です。この2つは削除してご理解ください。誤りです。
その上でw>>583宛のレスです。
580の真のポイントは、「ウラル&アルタイ型母音調和の本質は、ペアの母音が同一音素」というところなんだ。
だから、陰陽各陣営で、1:1対応して母音数が揃っていなければならないはず。
だから、中性母音が問題というより、「ぼっち母音」が問題になる。
ぼっち母音自体は、あちこちのウラル系・アルタイ系言語に見られるものだけど、
ぼっち母音が存在する体系は、母音調和は、生きた法則としては崩壊してる、と理解すべきだと思う。
再び有坂に戻るんだけど、アルタイ式理解をすれば、
どうやらオ乙のペアは、アらしいことになる。となると、ウがすでにぼっちになる。
さらに、オ甲は、振る舞いとしてはどうみてもぼっち。厳格なのにぼっち。
つまり、「オ乙/ア」のペアだけがあって、あとはボッチ。
この形で、なにか母音整序として積極機能した形跡が伺えない。
壊してしまうだけで、対案が立てられず申し訳ないんだけど、どうもこうとしか言えない気がする。
もし良い案があるのなら、動的に機能したシミュをお願いしたいと思う。
-
- 596
- 2013/10/14(月) 19:09:00.73
-
>>595の指摘通り、日本語の母音調和ってかなりいびつなんで、本来的な機能って感じしないんだよね
いびつといえば満州語もかなりいびつなんだけど、>>594にあるとおり満州語もツングース的な特徴はあとから仕入れたっぽい
こういう風に母音調和を外部から仕入れた言語で、変化が文字に記録されているのが他にもあれば日本語の母音調和時代の
音変化の仕組みも詳しく説明できそうなのにね・・・
ところで>>595の書き込みでもう少し詳しく知りたいんだけど、
削除して理解すべきは
・母音調和の仕組みは語族を超えて波及する
・外部から母音調和を仕入れた言語では固有語では母音調和を波及させられない
これらのうちどっち?
上を否定するならウラル・アルタイ祖語なるものが実在したっていう立場に立つと思うし
下を否定するならウラル・テュルク・モンゴル・ツングースは後年に言語連合を確立し、日本語や満州語はそこに一番半端に加わったっていう立場に立つと思う。
-
- 597
- 2013/10/14(月) 19:22:38.95
-
>>596
そういう意味じゃなくて、
・語頭音節母音に、中性母音が立っても、その単語はゼロ式にはならない。
・声調言語の分布に例えるのは不適切
蛇足2本の中身は、こういうこと。
母音調和で言語連合が起きるのは、俺はあり得ると理解してる。
突き詰めて理解すれば、母音調和とは、「単語が、音韻として『陰陽2式』を獲得すること」なので、
これが、語族を跨いで広まるということは、あり得ると思う。
ここでいう「式」というのは、例えば、日本語の京阪式アクセントで言う、
「高起式」と「低起式」の区別と同じような概念。
-
- 598
- 2013/10/14(月) 19:39:00.15
-
なんかツングース語と日本語の関係があることはもう確定事項のようにして議論が進んでるけど、
元ネタの論を読んでないせいかもしれないが、どうも自分にはそれが事実のようには思えない
ツングース語から語彙が入ってきてからの年代が2000年弱とかそこらとかいう説が出てるけど、
それならもっと誰が見ても分かるぐらいあからさまに酷似した単語がもっと多数ないとおかしいんじゃないのか
助詞には類似した語彙が多数あるとされているのに、一般名詞などにはそれほど多数あるわけじゃないのも疑問
文法的な語だけが多数借用されて、普通の語はそんなに借用されないなんてことがあるんだろうか
このページを共有する
おすすめワード