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  • 2017/02/27(月) 18:31:48
伊予市の港近くの海岸。
伊予市は人口二万余、特産品の「花がつお」はよく知られているまた製材も盛んな小都市である。
伊予灘に面した海岸は、渚から松原につづく砂丘に赤緑青白紫と五色の美しい碁石のような小石が埋めつくされ、そのため五色浜とよばれた。
この五色の小石に哀れな伝説がある。
寿永(一一八二)の昔、平家が滅亡した頃、この浜に五人の美しい姫が隠れ住んでいた。
海岸で真赤な平家蟹を見るにつけ、白い源氏蟹を見つけて恨をはらしたいものと考えた。
姉の姫は妹達に「白い源氏蟹を探せ」と命令した。
然しそのような白い蟹などいるわけがない。
毎日姉姫にせめられるつらさに、妹達は一 計を案じた。
白粉(おしろい)を赤い蟹にぬって姉姫にわたしたのである。
姉姫は喜んで「この源氏蟹め・・・」と海岸の岩にその蟹をたたきつけた。
浪にあらわれ、白粉はとれ妹姫のうそはあらわれてしまった。
姉姫は失望と怒りに妹姫を斬った。
三人の妹姫は恐ろしさの余り逃げ廻ったが「いっそ父上や兄様のもとに参りましょう」と相抱いて海に身を投げた。
姉姫も「憎い源氏め・・・」とののしりながら海辺をさまよい、妹姫のあとを追い浜の藻屑となった。
それ以後浜に五色の小石が波にあらわれるようになったのだという。

  夕栄の五色が浜をかすみけり  子 規

護岸工事のため五色浜は面影をなくした。

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