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背筋が凍るような駄洒落を一つ聞かせてくれないか

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  • 2011/01/01(土) 00:39:06
今年もまたこの季節がやってきた。
私は毎年のお得意先から依頼を受け、仕事に取り掛かることにした。

車を飛ばして30分、うさぎパークにやってきた。今年は近場で嬉しい。
去年買い換えたデジカメでビデオや写真を撮影したり、直に触れ合ったり、スケッチを取ったり。
実に充実した一日だった。
何? 遊んでいるだけだって?
それは大いに誤解だ。これは取材。歴とした仕事の一環だ。

次の日から私は構図を練りはじめた。
そう、私はイラストレーターなのだ。
前日に集めた資料を見返しながら、自分の持てる想像力の全てを尽くす。
結局、野を駆けるうさぎ、デフォルメしたキュートなうさぎ、バニーガールなど、いくつかの案を採用した。

構図が決まったら次は下描きだ。
薄い鉛筆で、まずは大雑把に、そして徐々に細かく輪郭を形作ってゆく。
納得いかないときは最初からやり直す。頭の中にしかないイメージを現実に見える形にしてゆく重要な作業だからだ。

下描きを完了させた私は、洗面所から水を汲んできて机の上に置く。
それから部屋にしまってある水性絵の具のセットを広げた。
このご時世、コンピュータで一から描くこともできるが、私は手作りの方が好きだ。
……まあ、これらの作品も最終的にはコピーされる運命なのだがな。
チューブから絵の具をひねり出し、水を少し混ぜる。
赤や黄色、微妙な加減で絵の具を混ぜて、うさぎの毛色に近づけてゆく。この作業は楽しい。
必要な色を一通り揃えてから塗るのが私流だ。
塗る時は基本に忠実に。ムラを作らないように。

細かい毛並みの表現などが終わったら、最後に文字を入れる。
これも大事なデザインの一部だ。
一字一字、真心を込めて丁寧に書いてゆく。
うむ、今年も満足のいく出来に仕上がったようだ。


仕事を終えてしばらくが経った。
誰もが忙しく走り回る12月だ。
私は仕事の成果を確かめにデパートに来た。
私の作品は今年も好調な売れ行きのようだ。
良かった。そうでなくては私の異名が泣くだろう。
毎年、干支をあしらった年賀状で人々の心を掴んできた、「賀正の画匠」という名が。


おわり

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