facebook twitter hatena line google mixi email
★お気に入り追加


  • 55
  •  
  • 2015/01/03(土) 20:22:12
■LRTと岡山について
LRTで検索すると、発祥の地である欧州や、モータリーゼーションからの復活を遂げた米国での事例を参照にしている記事が多い。確かに先行事例として大いに参考にはなる。しかし、日本と海外では制度や環境の違いから、一概に比較するのは困難だと思い始めた。
日本国内の先行事例としては、富山LRTが有名であるが、実はまだ市内を走る路面電車と繋がっていない。よって現段階では、先行事例として、松山市の伊予鉄や、広島市の広電の方が参考になる。

伊予鉄道株式会社の路線図(時間検索可能)
http://www3.iyotetsu.co.jp/rosen_iyotetsu/search/rosenmap.php
広島電鉄株式会社の路線図
http://www.hiroden.co.jp/train/rosenzu/streetcar_map.htm

伊予鉄・広電とも運行時刻、電停の密度、路線バスとの接続、などのソフト面ではLRTとして申し分ない。しかし、これが岡山市の都市交通が目指す姿なのだろうか?と考えると違和感が残る。

一番の違和感は、路面電車の初乗り料金(伊予鉄・広電は160円)。岡山市中心部の路面電子・バスの初乗り料金100円と安く、しかも初乗り料金のまま行きたい所に行ける。これは、岡電や岡山のバス会社が優秀であるとか、競争が激しいというよりも、市街地の構造の違いに由来していると思う。これは、以下に続くの2つの違和感とも大きく関係しているが、一言で言うと市街地が小さくまとまっているから。これは悪いことではなく、むしろ岡山都市圏の持つ大きな強みであると思う。なぜなら、全国的にLRTで実現しようとしている都市構造(一極集中→多極分散)が既に出来上がっていると考えられるからだ。
吉備線LRTが今ひとつ盛り上がらないのも、目的とする団子構造(--駅+市街地--(田園)--駅+市街地--(田園)--)が、岡山-倉敷を軸とした都市圏レベルで実現してしまっており、その意義が薄いように見えるからかもしれない。

次に違和感があるのは、JRとの連携。松山市、広島市ともJRは補助的な役割であるが、岡山では中心部と郊外の動脈をJRが担っている。これにより安い運賃と、分散型の都市機能を実現できている。例えば、倉敷方面から理大附属や就実大に通う場合、岡山駅までと同程度の料金で定期を作ることができる。反対に、備前・児島方面から岡山駅経由で倉敷方面に通う場合も安くて済む。これは、吉備線沿線の県立大学についても言える事だろう。
つまり、岡山市中心部は150万都市圏の中心地ではあるが、一部の都市機能が集積しているだけで、その他の多くの機能は郊外や近隣市町に分散している。これにより、渋滞が分散されるとともに、職住接近が実現しやくなっている。反対の視点では、自動車や自転車が便利になるため、公共交通の利用者を減少させる要因にもなっている。しかし、本来、交通機関とは、最も速く着く、費用の安い手段を選ぶべきものなのだ。

最後の違和感は、路面電車の役割。伊予電鉄、広島電鉄とも、市内中心部を網羅するように路面電車が走っている。一方の岡電は、岡山駅と表町、歓楽街、教育機関を結ぶ2路線だけ。市内を網羅するのはバスであり、特に最近では小型の循環バスが登場した。
つまり、岡山市では路面電車は、需要の多い拠点間を線として結ぶ事で、朝夕のラッシュに対応できることが期待されている。しかし、中心部のどこにでも行ける交通機関にはなっていないし、期待もされていない。恐らく今後もそうはならないだろう。

ここまで見た

★お気に入り追加

このページを共有する
facebook twitter hatena line google mixi email
おすすめワード