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 昨年4月の東京都杉並区議選で当選した田中裕太郎区議(48)が、選挙公報にトランスジェンダー女性を差別するイラストを掲載したとして、トランスジェンダー当事者を含む「杉並トランスジェンダー差別を止める会」の区民3人が13日、東京法務局に人権侵犯被害申告書を、東京弁護士会に人権救済申立書をそれぞれ提出した。
 申し立ての相手方は、田中氏と区選挙管理委員会。田中氏にイラストの使用中止を、選管に選挙公報に使わないよう田中氏を指導することの勧告を求めた。
 申告書などによると、田中氏は昨年4月の区「性の多様性条例」施行により、男性が女湯に入ることができるなどと主張。選挙公報に「オレも女だと言い張れば女湯に入れるのネ!」と書いた男性のイラストを掲載し、トランスジェンダー当事者を侮辱、差別し人権を侵害したとしている。区選管は市民から批判があったにもかかわらず対応しなかったとしている。
◆「醜悪なイラスト、全区民が目にするものに」
 申し立てた3人は代理人の神原元弁護士とともに、杉並区内で記者会見した。翻訳家の池田香代子さん(75)は「醜悪なイラストが、全区民が目にすることを前提とした選挙公報に載ったことを重くみている」と語り、金正則さん(69)は「トランスジェンダーでないマジョリティー(多数派)が責任を持ってヘイトスピーチをやめさせる流れをつくっていきたい」と話した。
 田中氏は「(内容を)確認していないので、何とも申し上げようがない」と話した。
◆区選管「条例に基づき原文のまま掲載」
 区選管は、田中氏の選挙公報について「区民から意見があったことは事実」とし、「申立書を確認していないので、現時点でコメントできない」とした。区民の意見には、選挙公報に関する区の条例に基づき原文のまま掲載することになっていると回答している。 (奥野斐)

東京新聞 2024年2月13日 20時01分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/309059

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