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- Toy Soldiers ★
- 2021/05/05(水) 19:16:22.86
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経済学者トマ・ピケティ率いる研究チームが、戦後の有権者の投票行動について非常に大規模な分析を行ったところ、1980年代以降、欧米の左派政党の支持基盤は庶民から高学歴者に変化したことがわかった。
同調査を踏まえ、ピケティが仏誌のインタビューに答えた。なぜ左派政党は労働者階級から支持されないのか
左派政党を支持するのは庶民から高学歴者になった
フランスで刊行された『政治の亀裂と社会の不平等』(未邦訳)は、非常に重要な研究をまとめたものだ。
50人ほどの国際的な研究チームが、有権者の投票行動が、所得、資産、学歴、民族的出自、宗教に応じて、どう変化するのかを調査したのだ。
本調査の対象期間は1948〜2020年と非常に長く、調査対象の民主主義国も50程度と非常に規模が大きい。このテーマに関してこれほど体系的、包括的に行われた調査は過去にない。
かつて西側諸国では、有権者は所属する社会階級に応じて投票先を決めていたが、いまではその構造は消失し、その過程で、左派政党は高学歴者に支持される政党へと変貌を遂げた。
このような左派政党を支持する人々のことを、経済学者トマ・ピケティは「バラモン左翼」と呼ぶ。本調査の共同監修者の一人でもあるピケティが、左派政党の変質とその帰結について語った。
──庶民階級の左派政党離れは、いつ起きたのですか。
1950〜80年の間には、西側の民主主義国の大半では、庶民階級が社会民主主義の政党に投票し、「ブルジョワ」階級が保守政党に投票していました。
学歴、所得、資産のどの基準を用いて「庶民階級」を定義しても、同じ結果が得られたのです。大卒者は高卒者よりも保守政党に投票することが多く、高卒者は中卒者よりも保守政党に投票することが多いといった具合です。
この構造が、西側諸国のどの国でも共通して見られました。各国の政治はそれぞれ異なる歴史を辿っているのですけれどもね。
たとえばアメリカの民主党は、もともと奴隷制擁護の政党だったのが、ニューディールの政党になった経緯があり、イギリスの労働党やドイツの社会民主党、フランスの社会党や共産党とも違います。
それにもかかわらず、30〜40年間、これらの民主主義国では、所属階級に応じて支持政党が決まっていたのです。きわめて特異なことです。
1980〜2020年になると、徐々にこの投票行動に変化が生まれます。社会的に恵まれた階級と庶民階級の双方で分裂が起きたのです。
社会的に恵まれた階級においては、所得が最も高い層が右派政党を支持し続けたのに対し、学歴が最も高い層は左派政党を支持するようになりました。左派政党を支持するようになった高学歴層を、私は「バラモン左翼」と名付けました。
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──なぜ「バラモン左翼」と呼ぶのですか。
少し皮肉をこめたラベルです。バラモンとはインドのカースト制度における知識階級です。もとは司祭階級であり、教員や教養人の階級です。それに対し、商人の階級がヴァイシャ、武人の階級がクシャトリヤです。
「バラモン左翼」とは、左派政党に投票するようになった高学歴層を指します。それに対するのは「商人右翼」です。
いまの米国を見ると、ビジネス・エリートは昔と同じように共和党に投票していますが、博士号取得者の80%は民主党に投票しています。
かつては学歴が高いほど右派政党に投票していたのに、いまでは学歴が高い人ほど左派政党に投票しています。
続きソース
https://courrier.jp/news/archives/243521/
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