【医療】最先端の医学では「白米は体に悪い」が常識だ★4 [sc](★0)
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- 2018/04/18(水) 02:24:28.13
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動脈硬化症や糖尿病の原因は、言わずと知れた高脂肪、高カロリーの西欧型食生活の普及だ。
しかし、20世紀の後半から、両方の病気の背景には慢性の炎症が潜んでいることがわかってきた。
なぜ西欧型食生活が慢性炎症の原因になるのか?脂肪細胞由来の様々なサイトカインが犯人としてこれまで研究されているが、
炎症を誘導する血液細胞側の変化については、ほとんど研究されていない。
これは、血液細胞が骨髄内で毎日新しい細胞に置き換わっているからで、血液細胞は周りの刺激に反応しているだけと考えられてきた。
そんな中、先週発行になった雑誌Cellに、高脂肪・高カロリーの西欧型食事は、血液を作る元の細胞を炎症型に変えてしまうと言う恐ろしいシナリオを示す論文が3編も掲載された。
その中で最も分かりやすいドイツ・ボン大学の論文を中心に紹介してみよう
(Christ et al, Western diet triggers NLRP3-dependent innate immune reprogramming(西欧型の食事はNLRP3を介して自然免疫をリプログラムする), Cell 172: 162-175, 2018)。
しかし、タイトルにWestern Diet(西欧型食事)と書いてあると、確かにドキッとするが、西欧型食事と一括してしまうのはちょっと科学的ではない。
実際には、脂肪の量を増やし、カロリーを高めた高脂肪・高カロリー食を西欧型と定義している。
この研究では、動脈硬化を起こすコレステロールの処理に関わるLdl受容体(Ldlr)が欠損したマウスに、高脂肪、高カロリーの欧米型食事(WD)を4週間与え、
通常の餌を与えたマウスと、炎症に関わる血液細胞の変化を比べている。
もともと慢性炎症に関わる自然免疫システムは、感染によりリプログラムされることが知られており、
これが腸内細菌が将来肥満などの原因になるという考えの根拠になっていた。
この研究では、4週間WDをとり続けるだけで、感染と同じように血液細胞が炎症型に変化してしまうことを示している。
恐ろしいことに、一旦この傾向が生まれると、正常食に戻しても元に戻らない。
この変化は、非可逆的な遺伝子発現のパターン変化が原因で、炎症に関わる様々な遺伝子が発現しやすくなっている。
すなわち遺伝子発現のプログラムが炎症型にリプログラムされたことになる(このような変化はエピジェネティックな変化と呼ばれる)。
しかも、この変化は寿命の短い成熟細胞で起こるのではなく、血液を作り続ける幹細胞のレベルで起こっているため、食事を変えても、炎症型の細胞が作り続けられることになる。
WD食が炎症型の遺伝子発現パターンを誘導するメカニズムについては、同じ号のCellにオランダ・ナイメーヘン大学のグループが、
コレステロール合成経路が上昇するだけで自然免疫がリプログラムされることを示しており
(Bekkering et al, Metabolic Induction of Trained Immunity through the Mevalonate Pathway(メバロン酸経路を介する代謝によって誘導される教育された免疫システム),Cell 172:135, 2018)
これらを合わせると、入り口から出口までのシナリオが出来上がる。
このシナリオを私なりにまとめると、
WDによりコレステロール合成が高まると、顆粒球系の前駆細胞の遺伝子発現パターンがリプログラムされ、
WDをやめても炎症型の白血球が作り続けられる。このリプログラミングにはコレステロール代謝だけでなく、IL-1Rも関わっており、
この経路をブロックすると顆粒球のリプログラムが抑えられる。
また、自然免疫の引き金になるインフラゾームの活性化に関わるNLRP3をノックアウトすると、WDを摂取しても自然免疫は高まらないことから、
コレステロール代謝だけでなく、独立した炎症の活性化が必要になると解釈できる。
になるが、詳細はいいだろう。要するに、西欧型の食事は血液細胞の元になる幹細胞のプログラムを炎症型に書き換えてしまう。
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