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  • 2016/10/19(水) 03:04:03.16
◆「老眼」の手術は必要か? どの手術も「治す」のではなく「軽減」が目的だという認識を

「老眼が治る」と言う話や広告を見たことがあると思います。
「治る」とは、風邪や胃潰瘍が治るなど、病気に対して使う言葉です。
しかし老眼は病気ではなく、しわや白髪のように加齢変化です。
白髪を染めれば一時的に黒くなりますが、色が落ちれば白髪が見えてきます。
老眼も同じで、どんな治療を受けても、あるいはどんな道具を用いても、老眼は治りません。
「軽減する」、あるいは「困らなくなる」程度だと思っていないと、期待外れになることでしょう。
最近は「アンチエイジング」と言って、少しでも若い状態を保つことや若返ることを目的とした様々な施術やサプリメントの広告を目にすることがあります。
「老眼を治す」と言う治療も一種のアンチエイジングと言えると思われます。

◇「老眼」のメカニズムは?

目の中のレンズである「水晶体」は、近くを見る時には厚くなり、遠くを見る時には薄くなり、見る対象物にピントを合わせます。
この水晶体は、加齢変化により弾力性を失い、厚くなることができにくくなります。
それによって近くの物が見えなくなるのが「老眼」です。早い人で30代後半から始まり、60代くらいまで徐々に進行します。
何らかの対策を取らないと、眼精疲労や頭痛、肩こりなどの原因となります。
若い頃から近視の人は、メガネをかけて、遠くの物や近くの物を見ています。
視力が良い人は、メガネをしなくても、遠くの物も近くの物も見えています。
しかし、ある年齢になると、近視の人は、メガネをかけると遠くの物は見えますが、近くの物が見づらくなり、メガネを外して近くの物を見ます。
一方、視力が良い人は、メガネをしなくても遠くの物は見えますが、近くの物は見づらくなります。
つまり、若い時と同じ方法では、遠くの物か近くの物か、どちらかしか見えないわけです。

◇手術による老眼対策

今回はインターネットなどで見かける「手術による老眼対策」について解説します。
しかし、若い時と同じような見え方や目の状態に戻す手術ではないので、なにがしかの我慢や犠牲は必要であることを知っておいてください。
また、今回の連載を読んでいただいている方々の中にも、視力の悪い方(近視が強い方)や視力が良い方がおられると思います。
しかし、老眼を感じ始めた時に、「強い近視」の人、「軽い近視・遠視」の人、「強い遠視」の人では、対応が異なります。
どの様にして遠くの物や近くの物を見ているか、また、メガネをかけているかいないかでも、対策が異なります。
そのため、今回の話も、すべての方にあてはまる訳ではないので、自分がどの手術の適応があるかは担当医に確認してください。
まず、老眼の手術を理解する上で、ぜひ知って欲しい言葉が「モノビジョン」と「多焦点」です。

◇「モノビジョン」と「多焦点」

「モノビジョン」とは、一方の目では遠くが見えて、もう一方の目は近くが見えて、両目で見ると遠くも近くも見える、いわゆる「がちゃ目」の状態です。
若い頃は、視力が悪い目だけ度の入ったメガネをかけている人もいます。
しかし、老眼の年齢になるとメガネがなくても遠くも近くも見えるので、意外と便利だと感じる方もいるようです。

「多焦点」を理解するためには、1枚のレンズで遠くも近くも見えるようにした「遠近両用メガネ」を思い浮かべてください。
レンズの上部で遠くが、下部で近くが見えるように、上から下へ多数の焦点を設けています。
これが「多焦点レンズ」になります。
若い人がかけている近視矯正のメガネは、遠くが見えるようにした単焦点のレンズです。
若い時には、単焦点レンズのメガネをかけても、調整力が保たれているので近くも見えるのです。

◇老眼対策の2種類の手術法

老眼対策の手術はいくつかありますが、「目の中にレンズなど何かを挿入する方法」と「水晶体を摘出したり角膜を削ったりする治療」に分けられます。
人間の目は角膜と水晶体で外から入る光を曲げて、網膜に映像を写します。
よって、手術をする場合、主に角膜と水晶体がターゲットとなります。

ヘルスプレス 2016.10.17
http://healthpress.jp/2016/10/post-2612.html
http://healthpress.jp/2016/10/post-2612_2.html

>>2以降へ続きます。

ここまで見た
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  • 2016/10/19(水) 03:04:53.96
>>1の続きです。

【1】水晶体の手術
?白内障手術(多焦点眼内レンズ)
白内障とは水晶体が濁る病気で、主に加齢変化で起こります。
手術は、濁った水晶体の中身を取り除き新しいレンズ(眼内レンズ)を入れる治療です。
この眼内レンズは、保険診療で行う通常の手術では単焦点のレンズを入れるため、術後に老眼鏡や運転用のメガネが必要になります。
一方、単焦点眼内レンズの代わりに多焦点眼内レンズを入れると、遠くも近くも見えるので、老眼対策になります。
現実的には、すべての距離にピントが合うとは限らず、鮮明に見るためにはメガネが必要になることがあります。
また、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、自費診療になりますので、両眼で数十万円の自己負担が必要になります。
手術自体は通常の白内障手術と変わらないので、合併症も少なく安全な治療と言えます。
老眼の治療を希望する方で白内障があり、必要に応じてメガネをかけても良いのであれば、お勧めの治療の一つです。

【2】眼内にレンズ等を挿入する手術
?アキュフォーカスリング(AcuFocus Ring)
クリニックによっては「カメラやリーディングアイ」と呼ばれています。アメリカのAcuFocus社が開発した老眼治療用のリングです。
レーザで角膜にポケットを作り、その中にリングを挿入します。直径3.8mmの黒い円形のリングで中心に穴が開いています。
その穴を通して見ることで焦点深度が深くなり、近くが見やすくなるしくみです。
通常は片目に挿入しモノビジョンの状態を作ります。
元々両眼とも視力が良い人は、レンズを挿入した目で近くを見て、他方の目で遠くを見ることになります。
近眼が強い人は、同時に角膜を削るレーシックを受ければ、遠くも近くもだいたいは見えます。
慣れるのに時間がかかることや細かい物を見る時にはメガネが必要になることがあるようです。
不具合があれば、摘出することができますが、瘢痕を残すとの報告もあります。

?レインドロップ(raindrop)
アメリカのReVision Optics社が開発した老眼治療用のレンズです。
直径2mmの透明なレンズで、角膜に埋め込み、角膜の形状を変えることで近くが見えるようになります。
やはり、片目に挿入しモノビジョンの状態を作り、遠くも近くも見えるようにします。
アキュフォーカスリングやレインドロップともに、現在のレンズでは残念ながらハロー・グレア(にじむ、ぼやける)やドライアイの症状が出ることがあります。
光学的には「収差」と言って、色合いの変化、像のぼやけ・歪みなどを増やすとの報告もあります。

?眼内コンタクトレンズ
虹彩と水晶体の間にコンタクトレンズと似た素材のレンズを挿入する手術です。
挿入するレンズが多焦点レンズであれば、遠くも近くも見えることになります。
角膜を削ったり水晶体を摘出したりしないので、不具合があり、レンズを摘出した場合はほぼ元に状態に戻ります。
しかし、見え方の質にはまだ改善の余地があり、細かい物を見る場合は、メガネが必要になることがあります。
本法は、まだ症例数も少なく術後成績や合併症など詳細は不明であり、標準治療とは言えません。

【3】角膜を削る手術
?モノビジョンレーシック
両眼ともに近視の人が対象になります。片目は遠くが見えて、片目は近くが見えて、両目で見ると遠くも近くも見える状態を人工的に作るのが、モノビジョンレーシックです。
主に利き目で遠くを見えるようにし、他方の目で近くを見えるようにします。
例えば、両目が近視で、近くを見る時にメガネを外して見ている方は、利き目のみレーシックで近視を減らします。
他方はレーシックは行わず近視のままにしておきます。
利点は、遠くも近くもメガネ無しである程度は見えるようになることです。
主な問題点は、下記の様なものがあげられます。

●モノビジョンの見え方に慣れるのに少し時間がかかることがある(1〜3か月)。
●左右差の許容範囲が個人で異なります。あまり左右差が大きいと慣れることが難しくなります。
●遠くを鮮明に見たい(長時間運転をする)方や手元の細かい作業を長時間する方には向いていないと考えられています。
●両目で鮮明に見た時に比べて見え方の質が落ちる可能性があります。
●レーシック共通の問題点として、ドライアイやハロー・グレアと言った症状が出ることがあります。これは一時的な場合と半永久的に続く場合があります。
●見え方に不満があっても、一度削った角膜を元に戻すことはできません。

※さらに続きます。

フリックゾンビ
フリックラーニング
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