永遠のNSP 故天野滋の世界 [sc](★0)
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- 2016/10/29(土) 23:09:08.33
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1974年(昭和49年)
春に上京したNSPは、プロモーションという名の殺人的なドサ廻りをこなし、その成果として、夏に夕暮れ時はさびしそうがヒットした
その年の冬、田舎の中学生だった私は、駅の前で帰省して来る姉を待っていた
改札から出て来た姉は、お土産が入った大きな紙袋を持っていた
田舎には無いドーナツチェーンの袋であり、中の大きな箱にはチョコやココナッツ他、カラフルなコーティングをされたドーナツが20個以上入っていた
久しぶりに再会した姉と同様に、そのドーナツにはどこか都会の香りがした
しかし、つかの間感じた距離感を埋めてくれる、もう一つのお土産を姉は差し出した
それは、丸ごと一冊NSPが特集された音楽雑誌
正確には雑誌というよりも、書籍あつかいの今で言うムックのような出版形式だったのたろうか?
インタビューや対談、経歴や趣味嗜好、好物に特技などの紹介、歌詞や歌の世界観を表したイラストなど、とにかくNSP満載の一冊だった
姉自身はそれほどNSPファンだったわけでもなかったが、夏に帰省して来た時に、私が熱心なNSPファンになっていたことを覚えていてくれたのだ
ありがとう、改めて姉の優しさ思いやりに触れ、ますます姉が大好きになった
その本の中で特に印象に残ったのは、NSPと同時期に私は泣いています、がヒットしていたリリィとの対談
世代的にははさほど変わらないのかも知れないが、どこかに少年の面影を残したNSPと大人然としたリリィのギャップがおかしかった
大事に何年も保存していたが、何度か引っ越しなどをするうちにいつの間にかなくしてしまった
今、古書をネットで探せる時代になったが、この出版物は見つけることが出来ない
あの冬、NSPの夢が詰まった温かい贈り物を姉から渡された冬、ラジオのコッキーポップの中では、雨は似合わないが流れていた
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