ペスト
ペストは現在日本国内にはありませんが世界じゅうで毎年数千人の患者と約10%の死亡者が出ている人獣共通感染症です。
ペストはもともとはネズミなどの野生げっ歯類の病気ですが、ノミが媒介してヒトにも感染します。しかしネコが重要な感染源動物になりうることについてはあまり知られていません。
ペストが存在する地域では屋外に出たネコが感染ネズミを捕まえて食べたり、ノミに刺されてペストに感染することもあります。
ネコはペストに感染すると口腔内にペストを含んだ膿瘍ができます。そのためなめたり噛みついたりすることでも感染の危険性があります。また、感染したネコの咳の中にもペスト菌が含まれています。
アメリカでは過去20年間に毎年約一名の割合でネコからペストをうつされています。
アメリカのコロラド州のフォートコリンズ市にあるアメリカ疾病管理センターのペスト研究チームではペスト予防のキャンペーンポスターを自作して感染の危険性の高い地域に配布しています(図1)。
ポスターの上部にはプレーリードッグやリスなどの野生げっ歯類とならんで、ネコが危険動物であることが示されています。
ペストが常在している地域ではペット、特にネコに対する注意と管理は重要です。