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  • 2016/10/19(水) 18:56:47.03
五月の夜の、ふんわりとした温かさが体を包んでくれる帰り道。ポケットの中のスマホが振える。タイムラインにコメントがあった。麗奈さんからの個人チャットだ。

『要望。いつものスーパーで野菜調達、OK?』

 雨上がりの濡れた路面に立ち止まって画面を撫でる。マナー通りに、歩きながらはいじらないことにしている。

『ちょっと回り道になるので面倒なんですけど。ご自分でどぞ』

 送った後、画面から目を離してスマホを手に持ったまま歩き始める。コメントはすぐに返って来る。また、立ち止まる。

『ああ、そう。早くしてくれないとサモリが飢え死ぬけどいい?』
『死ぬわけないでしょう』
『さっさと買って帰ってくればあの子、ご褒美にキスしてくれるって』
『嘘言わないで下さい』

 仕方ない。数百メートル余分に歩くけど、買っていくしかないか。俺はアパートへまっすぐ続く道から西に逸れた。



 つ づ き を よ み た い か こ れ ?

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