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  • 2008/10/01(水) 11:46:28
「おい・・・、これ・・・」と友人に手渡すと、うつろな目で眺めていたが、
中を開いた途端に表情が変わった。ゆっくりゆっくりページをめくりながら、
食い入るように見つめながら、次第に涙がボロボロとこぼれていた。
妻に「何?」と訊かれて答えながら、俺も涙を流していた。
読み終わった友人が両手で顔を覆って大泣きしていると、
床に置かれた自由帳を拾って読み始めた妻が、嗚咽を漏らし始めた。
3人揃ってわんわん泣いてしまって、後の始末は出来なかった。

四十九日を終えた友人はその後、ほどなくして仕事に行くようになり、
そこの社長の勧めもあって、半年後に元の会社に復帰した。
元の会社でも辞めた事情はわかっていたので、そのままの地位ではなかったが
即戦力は確かなこともあって、かなり優遇してもらったそうだ。
そうして三回忌を終えてから、実家のある地方の支店に異動願いを出し、
年度替りとともに昇進という形で去っていった。
付き合いは消えたわけじゃないからメールや電話で連絡を取り合っているのだが、
気になる女性がいるらしい。ようやく傷が癒えかけたようだ。

それでも、親としての傷はいかばかりのものかと思う。
家族でもない俺が、あの自由帳を思い出すたびに泣けてくるのだから。

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