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  • 2012/10/31(水) 00:37:38
某ブログで見つけた感動した話。八王子とは関係ない。


幼い頃に父が亡くなり、母は再婚もせずに俺を育ててくれた。


学もなく、技術もなかった母は、個人商店の手伝いみたいな仕事で生計を立てていた。


それでも当時住んでいた土地は、まだ人情が残っていたので、何とか母子二人で質素に暮らしていけた。


娯楽をする余裕なんてなく、日曜日は母の手作りの弁当を持って、近所の河原とかに遊びに行っていた。


給料をもらった次の日曜日には、クリームパンとコーラを買ってくれた。


ある日、母が勤め先からプロ野球のチケットを2枚もらってきた。


俺は生まれて初めてのプロ野球観戦に興奮し、母はいつもより少しだけ豪華な弁当を作ってくれた。


野球場に着き、チケットを見せて入ろうとすると、係員に止められた。


母がもらったのは招待券ではなく優待券だった。


チケット売り場で一人1000円ずつ払ってチケットを買わなければいけないと言われ、


帰りの電車賃くらいしか持っていなかった俺たちは、外のベンチで弁当を食べて帰った。


電車の中で無言の母に「楽しかったよ」と言ったら、


母は「母ちゃん、バカでごめんね」と言って涙を少しこぼした。


俺は母につらい思いをさせた貧乏と無学がとことん嫌になって、一生懸命に勉強した。


新聞奨学生として大学まで進み、いっぱしの社会人になった。


結婚もして、母に孫を見せてやることもできた。


そんな母が去年の暮れに亡くなった。


死ぬ前に一度だけ目を覚まし、


思い出したように「野球、ごめんね」と言った。


俺は「楽しかったよ」と言おうとしたが、


最後まで声にならなかった。

ここまで見た

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