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  • 2011/01/26(水) 16:07:03
>>31
参考になるのがあったので、どうぞ。

下記論文の最後に、「諸外国における外国人への参政権付与状況」という表があります。どうぞご覧ください。

佐藤令 「外国人参政権をめぐる論点」、国立国会図書館調査資料、2008年。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/documen

オランダはEU以外の出身者にも(たとえば日本人にも)地方参政権を認めています。オランダ在住の日本人のブログなどで、選挙の体験談が読めます。一方、フランスはEU出身者にしか認めていません。
それで、どちらの国が移民関連でより荒廃しているのかといえば、フランスの方でしょう。2005年10月末に、パリ郊外で移民2世・3世の若者らを中心とする暴動が発生しています。約280の自治体にまで広がり、5000台もの自動車が放火されました。紅蓮の炎が連夜空を焦がし、騒乱は11月前半くらいまで続きました。近隣のドイツやベルギーでも同様の放火が発生しましたが、オランダには特に飛び火しなかったようです。
要するにですね、「日本の外国人参政権の話で関連事項としてドイツとオランダの移民政策の失敗という言葉が出てきました。」は、ネトウヨお決まりの歪曲ネタですよ。引っかかっちゃダメです。以上で結論は申し上げましたが、もう少し説明いたします(ドイツについては割愛)。

欧州諸国の例に漏れず、オランダも移民問題には苦悩している。移民制限、イスラム教徒排斥を呼号する極右(ウィルダース率いる自由党)の鼻息が荒い。2010年6月9日のオランダ下院(定数150)総選挙で、自由党はこれまでの9議席から24議席へ躍進した。選挙結果は次の通り。

自由民主党(中道右派リベラル)31
労働党(社会民主主義)30
自由党(極右)24
キリスト教民主党(保守)21
緑の党(左派リベラル)10
D66党(中道左派リベラル)10
その他。

何らかの連立政権を組むしかないわけだが、いまだに連立交渉はまとまっていないらしい。
さて、さかのぼって2004年に、ゴッホという映画監督がアムステルダムの路上で惨殺されている。下手人はイスラム過激派の青年(モロッコ系オランダ人)だった。モロッコはイスラムが国教だが穏健派である。この青年は移民2世(か3世)で、オランダ生まれのオランダ育ちにもかかわらず、「覚醒」して穏健派を飛び越してしまった。
惨殺されたゴッホは、イスラム原理主義者を「goat fuckers」(山羊を獣姦する奴ら)と揶揄したり、裸の女の肌にコーランの聖句を投影するシーンを撮ったりして、挑発的な表現で有名だった。コーランやムハンマド(イスラム教の創始者)を風刺する作品を発表して殺害された事件としては、日本でも五十嵐一さん(『悪魔の詩』の訳者)の例がある。殺害事件と外国人参政権とは直接の関係がなさそうだ。
オランダの国籍法は生地主義を採り入れているので、移民の子はオランダ国民になるが、その前の移民1世の代から地方参政権が与えられる。1985年に与えて以来、四半世紀を閲(けみ)するが、同国にイスラム系の大きな政党はない。イスラム教徒の(地方)議員は、保守から左翼の各政党に分散して少数ずつ所属している。下記論文をご覧ください。

外国人の政治参加は社会をいかなる方向へ向かわせるのか?(上西秀明氏、立命館大学国際関係学部助手、2000年)
http://home.att.ne.jp/iota/okd/world-reader/rena
(引用開始)
オランダで何が起こったか?
(中略)
 この点に関して、まず移民世代の投票行動からみた場合、その支持政党の内訳はほぼオランダ人のそれと同じであり、若干労働党の支持率が高くなっている程度の差異に過ぎないことを述べておきたい。特筆すべきは、固有の政治的利害を主張するエスニック小政党の乱立というような事態は全く生じていないということである。
(引用終り)

参政権付与は、移民をオランダ社会に取り込むことに幾分かでも役立ったと思われる。そういえば、朝鮮総連が参政権付与に反対する理由は、「在日朝鮮人が日本社会に取り込まれてしまうから」らしい。これを各地方自治体の立場から見ると、地方参政権付与は外国人を取り込むことに役立つのである。
なお、私はこの回答と近い内容を、ネトウヨの巣窟「国民が知らない反日の実態 - 外国人参政権の正体1」(http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/90.html)に投稿したことがあります。しかし、削除されてしまいました。当たり前か……。その後、誰かが一部復活させてくれたようですが。

ここまで見た

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