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  • 2016/01/12(火) 18:55:01.98
消防庁のハイパーレスキュー隊といえば、命知らずの男達が、火災現場や事故現場で人命救助を行う、
勇敢な部隊として、この地方に知られている。
任務のあと、男達は所轄の消防署に戻り、制服に着替え、暫し休息する。
防火服は、激しい任務でドロドロボロボロになるが、手入れを行い、直ぐに着用出来るよう準備しておく。
俺はいつもそれが習慣だ。
準備されている道具の、できるだけ古くなってる奴を10数種類ほど、
しっかり点検し新しい物と取り替える。
そして、深夜、高層マンション火災の出場要請が入る。
俺はもう一度汚れた防火服一式を身に付け、消防車の中に集まってきた隊員六名を乗せ、
ウォーッとサイレンを響かせながら、深夜の街の中を走り抜ける。
現場の状況は、逃げ遅れ多数の可能性がムンムン強烈で、俺の状況判断を最悪に傾ける。
車の中の無線は、もうすでに痛いほど現場の情報が入電している。
地獄画図と化した火災現場に到着する。やべぇ。
炎の轟音、物が焼ける異臭や、怒号や泣き叫ぶ声が、辺り一杯に響く。溜まんねえ。
大至急第三出場要請! 放水急げ!と叫びながら、全力でホースを繋く。
炎の状況を比べ、一番炎の回りが小さい階段を突入口に選ぶ。
その階段からは、助けを求める声がはっきりと聞こえ、焼ける臭いがツーンと臭って臭って堪らない。
この火災の原因は、以前から噂されていた、五分刈りで髭の、40代の、
放火の常習犯だろうと、状況から想像して、腹の底から込み上げる憤怒を押し殺し、
今正に消えそうな声を聞きながら、諦めるんじゃないぜ!俺達が絶対に助けるぜ!と絶叫し、
ホースをいっそう激しく扱く。
他の隊員は、救助した人を労るように肩や身体に巻き付け、
放火魔野郎の凶行に怒りを覚えながら、そっちはどうだ!要救助者はこれで全員か!と確認しながら行動する。
そろそろ建物が限界だ。
俺はポケットから無線を引き出した瞬間、近くの部屋の中から炎が吹き出し、思いっきりフラッシュオーバーを食らう。
なんのこれしき!全員助けるまで…俺は死なん!と叫びながら前に進み続ける。
本当に消防署一丸で消火と救助に当たってるので、ムチャクチャ頼もしい。
俺の防火服は、激しい炎でボロボロに焦がされる。
任務完了、要救助者…死傷者…ゼロ!
壮絶な戦いが済んだあと、他の隊員と一緒に、署に戻り束の間の時間眠り込む。
また次の日も、尊い命を救うべく、厳しい訓練に没頭する。
この町ではそんな心熱き男達がいくつもの命を守っているんだぜ。

ここまで見た

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