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  • 2011/10/30(日) 10:16:16.53
 山田老師は、原田祖岳老師の最晩年のエピソードをよく引きあいに
出されました。南アジアの上座部(小乗)仏教の伝統を忠実に
守りつづけている僧が、日本の大乗仏教に挑戦するために
やって来たときのことです。その僧は東京のとあるホテルの一室に
日本の僧侶たちを集め、「これから精神を深く集中し、椅子ごと
天井まで上がって、そのまま五十五分間浮いていましょう」と
宣言しました。彼が精神集中を始めると、本当に椅子ごと天井まで
浮いて、五十五分後無事に着地したのです。そして、集まっていた
僧侶たちにこう言いました。「それでは、あなたがたの精神集中が
どんなものか見せていただきましょうか」。
 原田老師の弟子たちはすっかり打ちしおれて帰ってきて、「私は
何もできませんでした」と老師に報告しました。偉大な禅師たちの
系譜を引いて豪放な人柄であった原田老師は、「私もその場に
いたかったなあ。私なら『友よ、長旅でさぞお疲れで、喉もお渇きでしょう。
どうぞ、お茶を一服召しあがれ』と答えただろうね」と言われ、
禅特有のしぐさで、あたかもお茶を入れるかのように手を伸ばしました。
そして、「ふん、天井に隠れて引っぱり上げていた坊主はどこのどいつだ!」
と叫ばれたそうです。

(イレーヌ・マキネス『禅入門 カトリック修道女の歩んだ道』岩波書店
2009年, p.86)

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