-
- 330
- 2023/09/19(火) 18:41:28.21
-
>>328
■THCの特徴……石油のような性質をもち、脂肪や母乳に溶け込む
薬物の体内分布や代謝・排泄を左右する要因の一つは、その薬物が水に溶けやすい「水溶性」か、油に溶けやすい「脂溶性」かです。麻薬としても知られるモルヒネ、コカインなど他の多くの植物成分は「アルカロイド」と総称され、水溶性ですが、THCはアルカロイドではなく、炭化水素に少しの酸素原子が付いているだけです。とくに、化学構造中に、長い鎖状の炭化水素が含まれていて、ほとんど石油のような物質です。当然、油は、水に溶けません。
マリファナを燃やすと、石油のようなTHCは蒸散して、それを吸い込むと肺から急速に血液中に入り込みます。しかし、油ですから、血液の水分には溶け込まず、約90%はリポタンパクやアルブミンなどの血清タンパク質にくっつき、約10%は赤血球などに入り込んで、全身に運ばれます。血清タンパク質や赤血球から解離したごく一部のTHCが、速やかに各組織に移行し、薬効を示すのです。ちなみに、脳に移行するのは、摂取したTHCのわずか1%程度です。
時間が経過すると、THCは徐々に、全身の脂肪組織に浸み込んでいきます。いったん脂肪組織に入ってしまうと、なかなか血液循環には戻りません。実際のヒトのデータで、マリファナを1回喫煙しただけでも、4週間後に脂肪組織中に相当量のTHCが残存していたという報告があります(Biomed Chromatogr 3(1):35-38, 1989)。THCの見かけの効果が消失した後でも、THCは長期間にわたって体内に貯留し続けるので、慢性毒性が問題となります。
また、THCは胎盤を通過し、母乳にも少量移行します(Neurotox Res 6(5): 389-401, 2004)。妊娠中あるいは母乳育児中の女性がマリファナ喫煙することは、子どもにTHCを与えることに他なりません。
このページを共有する
おすすめワード