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- 2021/10/15(金) 11:17:57.83
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室温で水素原子が核融合反応を起こしてエネルギーを生み出す「常温核融合」。この現象を
初めて観測したという1989年の発表で世界の研究者の参入が相次いだが、実験結果は再現
されずにブームは急速にしぼんだ。それから約30年。地道に研究を続けてきた日本の研究
グループを中心に核反応によるとみられる過剰熱の発生が恒常的に確認され、未知の反応の
正体を探る手がかりも得られつつある。
同グループの実験は、パラジウムとニッケル、銅とニッケルといった組み合わせで金属粉末の
試料を作り、陽子1個と中性子1個の原子核でできた重水素や水素のガスを注入して金属表面
で反応を起こすというものだ。微細構造を持つ金属材料に水素ガスを注入するというやり方は、
大阪大の荒田吉明名誉教授が05年に考案した方法が原型になっている。
01年には、三菱重工業がパラジウムなどで作った多層膜に重水素ガスを透過させることに
よって、セシウムやストロンチウムが別の元素に変わる「核変換」に成功している。この研究
を担った岩村康弘氏は東北大に移り、今回の研究プロジェクトにも中核メンバーとして参加
している。
約30年前に米国などの研究者が発表した常温核融合の方法は、パラジウムの電極で重水を
電気分解するというものだった。この方法は現在も海外で盛んに試みられているが、テクノバ
などの研究グループは電気分解法ではなく、金属に重水素(または水素)ガスを注入する方法が
有望とみて研究を進めてきた。 水素の核反応によるとみられる発熱の観測の成果を重ねて
いるのはトヨタグループの技術系シンクタンクであるテクノバ(東京・千代田)、日産自動車、
東北大学、神戸大学、九州大学、名古屋大学が参加する研究グループ。新エネルギー・産業
技術総合開発機構(NEDO)から研究資金を得て、2017年10月まで2年間、実験を行った。
クリーンプラネット
ボイラーおよび関連機器の製造・販売を手掛ける三浦工業は5月15日、「新水素エネルギー」
を研究開発するベンチャー企業であるクリーンプラネット(東京都港区)が同日実施した
第三者割当増資を引き受けたと発表した。出資金額および出資比率は非公表。
新水素エネルギーとは、微小な金属粒子に水素を吸蔵させ一定の条件下で刺激を加えると
投入熱量を上回るエネルギーを放出する反応システムのこと。通常の燃焼反応(化学反応)
と比べて水素1gあたり数桁以上の大きな放熱量の報告が相次いでいる。何らかの核変換
(元素転換)が起きていると推察され、研究者間では「凝縮系核反応」「金属水素間新規
熱反応」とも呼ばれる。将来的に実用化された場合、太陽光や風力発電の余剰電力を使って
水電解で製造した水素(軽水素)を燃料に、CO2を排出しない電力を効率的に生産できる
可能性がある。
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