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  • 2021/09/16(木) 08:02:48.74
 福岡市南区的場の那珂川に福岡県が整備した護岸壁に、完成からわずか2年余りで多数の亀裂や傾きが数十メートルにわたって発生していることが分かった。西日本新聞「あなたの特命取材班」に寄せられた情報を基に取材を進めると、軟弱地盤が影響した可能性が浮かび上がった。同県は工事に問題はなかったとの立場の一方、「補修か再工事が必要」と認める。専門家は「護岸が崩壊する恐れもある。早急な調査を行うべきだ」と指摘する。

 問題の工事は「那珂川護岸工事2工区」。河岸160メートルに、コンクリートブロックを張り詰めた護岸を設けるもので総工費約8千万円。同県春日市の建設会社が請け負い、2018年9月に着工し、19年3月に完成した。

 取材班は今年5月から取材を開始。福岡県那珂県土整備事務所は当初、「監視を続けているが、護岸の大きな変化は確認されておらず問題はない」と説明していたが、その後、「深い亀裂が見つかり、幅広く対応を考えたい」と補修などを行う方針に転換した。

 県は亀裂や傾きの原因について「結果的に護岸の背後地の土質が悪かった」との見解を示し、軟弱地盤を前提とした対処が必要だった可能性を認めた。

 投稿を寄せたのは、1級土木施工管理技士で春日市の男性(70)。取材班と共同で県に情報公開請求を行ったところ、県の監督員による工事後の「成績採点」が開示されたが、全項目で最高評価だった。

 県によると、土質調査は今回の工事の必須条件にはなっていない。このため、県は亀裂などは「不可抗力だった」として、一連の工事過程に関しては問題ないと結論づけた。

 8月には、九州大の安福規之教授(地盤工学)が取材班と現地を視察した。安福教授は「護岸ブロックの傾きに加え、基礎沈下の両方が起きている可能性がある」と指摘。「工事による地盤の締め固め不足に加え、さらに緩い地盤へ水が浸透して地盤内の水位が上がり、内側から護岸を圧迫したなど複合的な原因が考えられる」と述べた。

 今回の工区は、もともと曲線だった部分をまっすぐに埋め立てた地形。九大の小松利光名誉教授(河川工学)は「一般的に埋め立てた場所は、地盤が緩いことが多い。今後調査する必要があるが、工事途中でも気付くことができたのではないか」と、県に施工管理の徹底を要望している。 (水山真人)

西日本新聞 2021/9/16 6:00
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/801317/

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