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- 2021/06/13(日) 00:20:12.16
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ジャレド・ダイアモンド 『銃、病原菌、鉄』
https://cruel.org/diamond/whoarethejapanese.html
あらゆる点で、縄文人の骨は現代日本人とちがっていて、現代アイヌと似ているし、弥生人の骨は現代日本人と似ている。現代日本人は、朝鮮系の弥生人とアイヌ系の縄文人の混血ではないかという想定で、遺伝学者は二つの遺伝子プールの貢献を計算しようとした。結果として、朝鮮系の貢献が圧倒的だ。というわけで、朝鮮移民は確かに現代日本人に大きな貢献をしている。
この章の冒頭で、特徴的なアイヌとあまり特徴のない日本人が同居するようになったかについて、色眼鏡のない解釈を述べるところから始めた。こうした事実を見れば、アイヌは日本先住民であり、日本人はもっと最近やってきたという示唆が得られそうだ。いまや考古学、身体人類学、遺伝学もこの見方を支持している。
だが冒頭で述べた通り、ほとんどの人(特に日本人)が別の解釈を探したくなるような有力な反論についても述べた。日本人が本当に最近になって朝鮮からやってきたなら、日本語と朝鮮語は似通っているはずだ。アイヌ的な先住民と朝鮮からの侵略者との混合で生じたのであれば、日本語は朝鮮語とアイヌ語の双方に似ているはずだ。ところが日本語とアイヌには類縁性がなく、日本語と朝鮮語の類縁性もかなり遠いものだ。混血がたった2400年前に起きたなら、なぜそんなことになるのだろう?このパラドックスの解消として、以下の説を提案したい。縄文時代の九州と弥生時代の侵略者の言語は、実は現代アイヌ語や現代朝鮮語と似ていたとは考えにくいのだ。
北海道のアイヌ語は、九州の縄文言語のモデルにはならない。同様に、現代朝鮮語は400BCにおける弥生言語のモデルとしては不適切かもしれない。現代朝鮮語は、新羅の言語から派生したものだ。統一朝鮮を作った王国だが、日本と密接な関係を持っていたのは、新羅ではなかった。朝鮮年代記を見ると、各種王国はそれぞれ別の言語を使っていた。新羅に滅ぼされた王国の言語についてはあまりわかっていないが、王国の一つ(高句麗)から残された数語は、現代朝鮮語よりは、現代日本語の単語にずっと近い。現代日本語へと進化した朝鮮言語は、新羅語とはかなりちがっていたのではないか。したがって、現代日本人と現代朝鮮人が、言語面ではあまり似ていないのに外見と遺伝子はずっと似ているのも無理はないだろう。
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