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  • 2021/04/09(金) 13:49:39.34
インドのある村の、キサーゴータミーという女性は、幼子を亡くし悲しみに身も心も壊れんばかりだった。
愛児の死を受け容れられず、死んだ赤子を抱いたまま、「この子を生き返らせて、この子を 生き返らせて」と
会う人ごとに激しい哀願をかさねるが、もとよりかなわぬことである。見かねたある人がブッダにたすけをもとめた。

ブッダは、ゴータミーにこのように言った。

「この村の家々をまわって、けしの実をもらってきなさい。ただし、これまで一度も死人を出したことのない家の
けしの実でなくてはいけない。それをもらってわたしの所に持ってきなさい。そうすれば、赤子は息を吹き返すだろう」

ゴータミーは勇んで、家々を回った。我が子が生き返ると聞いた彼女は必死だった。
しかし、訪問をうけた家の人たちは、悲しく首を振るだけだった。
どの家を回ってもけしの実は手に入らなかった。死人を出したことのない家は一軒もなかったのである。

その時、ゴータミーははっとした。愛するものを喪った悲しみはわたしひとりのものではない。
これまで、みなが味わってきたかなしみなのだ。生きとし生けるものは死をまぬかれることができない。
そのことわりをしっかりと胸にだいて、かなしみをしずめなければならないのだ。
そう思ったとき、かなしみは消え、ゴータミーはブッダの弟子になったという。

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