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- 2021/02/24(水) 20:58:44.07
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(2) 政教分離規定に関する憲法判断
「憲法は,20条1項後段,3項,89条において,いわゆる政教分離の原則に基づく諸規定
(以下「政教分離規定」という。)を設けているところ,(中略)国家と宗教との関わり合いには
種々の形態があり,およそ国家が宗教との一切の関係を持つことが許されないというものではなく,
政教分離規定は,その関わり合いが我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の
保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合に,
これを許さないとするものであると解される。」
「国又は地方公共団体が,国公有地上にある施設の敷地の使用料の免除をする場合において
(中略)当該免除が,前記諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との
関係で相当とされる限度を超えて,政教分離規定に違反するか否かを判断するに当たっては,
当該施設の性格,当該免除をすることとした経緯,当該免除に伴う当該国公有地の無償提供の
態様,これらに対する一般人の評価等,諸般の事情を考慮し,社会通念に照らして総合的に
判断すべきものと解するのが相当である。」
前記(1)などの事実関係によれば、「本件施設については,一体としてその宗教性を肯定することが
できることはもとより,その程度も軽微とはいえない。」
本件施設が当初の至聖廟等とは異なる場所に平成25年に新築されたものであって,当初の
至聖廟等を復元したものであることはうかがわれず,法令上の文化財としての取扱いを受けている
などの事情もうかがわれないこと(判決文第2の3(2))、免除の対象となる公園使用料相当額が
年間で576万7200円(占用面積1335?×1か月360円×12か月)に上るというもの
であって、更新が予定されているため、参加人は継続的に上記と同様の利益を享受するものであること
(判決文第2の3(3))などによれば、「本件施設の観光資源等としての意義や歴史的価値を考慮しても,
本件免除は,一般人の目から見て,市が参加人の上記活動に係る特定の宗教に対して特別の便益を
提供し,これを援助していると評価されてもやむを得ないものといえる。」
「以上のような事情を考慮し,社会通念に照らして総合的に判断すると,本件免除は,市と宗教との
関わり合いが,我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の
根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとして,憲法20条3項の禁止する宗教的活動に
該当すると解するのが相当である。」
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