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  • 2020/11/23(月) 08:08:55.79
 新型コロナウイルスの影響による失業者が7万人を超える中、雇用の受け皿となってきたウーバーイーツの配達員に逆風が吹いている。配達員の増えすぎで収入が落ち込んだとの声が続出。参入企業も相次ぎ、今後はさらに報酬が引き下げられる恐れがある。失業や収入の低下に悩んで飛び込んだ世界でも、窮地に陥りかねない。(久原穏)

◆Go To イートも逆風に
 東京・三軒茶屋のマクドナルド前。ウーバーからの配達依頼が多く、稼ぎを狙う配達員が行列するため「ウーバー配達員の聖地」と呼ばれる。「コロナが拡大した3月ごろから配達員が急増し、10月にGo To イートが始まり宅配需要が落ちた。仕事の奪い合いで収入は3割減った」。派遣会社を辞め配達員を本業にした男性(52)は肩を落とす。
 配達員の人数について、ウーバーイーツ日本法人に問い合わせても回答はない。配達員らでつくる労働組合ウーバーイーツユニオンの土屋俊明執行委員長は「以前、東京エリアで1万人と言われたが、今は数倍ではないか」と語る。
 新宿や池袋を中心にバイクで配達する土屋氏は「8月までは時給にして1500〜2000円は稼げたが、最近は1500円に達しない」。ガソリン代を考えれば「最低賃金(東京都は1013円)を下回る」と嘆く。

◆大学院で修士号を取得したが…
 半年前に配達員を始めた男性(35)は「以前のバイク便のようになってしまうのでは」と不安を抱く。バイク便はバブル期に急拡大、その後、過当競争により配達員の報酬が引き下げられ「かつては月に100万円稼ぐ人がいたが、今は20万円ぐらい」(バイク便協同組合)という経緯がある。
 男性は東京の私大大学院で化学の修士号を取得。リーマン・ショックで就職に苦労し、ようやく恵まれた会社員生活を送り始めたところでコロナ禍に。在宅勤務となって労働時間の報告を何度も求められ、心身を崩して退職した。
 配達員は1回の配達で約500円の収入。朝から晩まで約30件こなし、週6日で月収約35万円。さらに週2日、福祉施設で夜勤のアルバイトも。「稼げるうちに稼いでおきたい」と疲れた体にむちを打つ。

◆新規参入も相次ぎ競争激化
 業界はウーバー、出前館の二強にフードパンダ、ウォルトなど新規参入も相次ぐ。出前館は2020年8月期決算で過去最高の売上高を記録したが、人件費がかさみ最終赤字だった。調査会社エヌピーディー・ジャパンの東さやか氏は「働き手が次々集まる現状では、待遇改善は期待できない」と今後の報酬引き下げもあり得ると警鐘を鳴らす。

 ウーバーイーツ配達員の仕事 飲食店の出前を代行する。客はウーバーのアプリなどで注文。ウーバーは店や配達先に近い場所にいる配達員に依頼を送信する。応じた配達員が店から品を受け取り自転車やバイクで配達。報酬は、商品の受け渡しで発生する固定料金と、店から注文先までの距離に応じた変動料金の合計から、ウーバーへのサービス手数料10%を差し引いた額。配達員の不足度などに応じた追加報酬もある。

東京新聞 2020年11月22日 22時27分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/70009

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