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  • 2020/11/23(月) 13:30:05.70
新型コロナウイルス感染症に関する論考(続編)
2020年11月20日 京都大学名誉教授 川村 孝

新型コロナウイルス感染症の感染者数が増えてご不安の向きもあろうかと思うので、若干のコメントを発する。

■ ワクチンの導入は慎重に

ワクチンの開発が進んでいる。ファイザー社製ワクチンの有効性が95%との速報が出された(11月18日)。
それによると、43661人が参加して41135人が2回目の接種を受け、1回目接種から28日間で170人が発症し、内訳は実薬群が8人、対照群が162人と著しい差があり、重大な副作用はないとのことである。
割付の方法や発症の判定基準などの詳細が不明で、結果の表現が通常とは異なる(通常は、「実薬群で何人中何人(○%)、対照群で何人中何人(○%)が発症し、相対リスク減少(あるいはハザード比)は○○(95%信頼区間は○○〜○○)」とはいう形を取る。

このワクチンは、抗体の産生を誘導するだけでなく、細胞性免疫を担うT細胞を賦活する作用もあるという触れ込みである。しかしワクチンを打って十分な抗体ができるまで2週間ほどを要し、T細胞の賦活にも細胞増殖のために数日を要する。
仮に免疫効果の発現まで4日かかるとすると、追跡する28日中の最初の4日は実薬接種群に恩恵は生じないので、5日目以降28日目まで完璧に抑制しても(ウイルス曝露が期間中均一であれば)有効性は86%程度が最大値となり、95%という数字にはならない。
論文が刊行されたら研究方法について吟味するが、本来は抗体が効いている3ヶ月間の感染有無で評価すべきところ、認可を急ぐために無理をして1ヶ月で評価したようにも思われる。

公表された数字を使って現実の有用性を計算してみる。プラセボ群2万人に接種して162人、実薬群2万人に接種して8人が発症したので、発症者は20分の1になる(これが有効率95%の根拠)。
しかし現実的な見方をすると、2万人に接種して162人が感染するところが8名になり、154名の感染が防げることになるので、ワクチンを打って恩恵を受けた人の割合は0.8%となる」。残りの99.2%の接種者は、接種を受けても受けなくても運命は変わらない。

ここでもし重い副作用が接種者の1%にでも出たら、有効性は吹き飛んでしまう。すなわち、罹患率が低い病態に対するワクチンはほとんど副作用が生じないことが必要条件になる。副作用が“ある”ことは証明しやすいが、“ない”ことの証明はなかなか難しく(不在証明と同じ)、ワクチンがかなり普及してからでないと判明しない。
欧米や南アジアのように切羽詰まった状況にある地域ではワクチンのメリットが出やすいので、これらの地域での状況をじっくり見極めてから日本人が打つべきかどうかを判断したい。

https://shard.toriaez.jp/q1541/533.pdf

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