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- 2018/07/14(土) 06:19:54.37
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『未解決事件 オウム真理教秘録』 NHKスペシャル取材班
自宅が近く幼い頃から遊び仲間だった武本さんは、中川智正のことを「ケツ」と呼んだ。
――なんで「ケツ」なんですか?
「ケツはケツだからな……昔から割りと丸っこい体つきだったから、お尻の様子からそう呼んだんじゃないですか」
中川智正が話し始めた。中川は麻原のことを「麻原氏」と呼んだ。
「すべて裁判で解明するのは無理ですよ。システム的に。
あそこでは麻原氏は犯罪者でしかない。極めて優秀な面があったことは問題にされない。
そう言うと、いまだに帰依しているということになる。
ああいう人物が出たときに、どういう対応したらいいのか、分かっていない。
結局、自分はバカでしたとしか言えない。それでは話にならない」
自分の判決を賭けて、必死に訴えているという感じはしない。早口で淡々と、まるで学者が論評しているようだった。
「彼(麻原)は、宗教的にすごかった。ヨーガをものすごくやっていた。瞑想の達人だった。
薬物などを飲んで劇的な体験をしなくても、神秘体験が出来た。
だから、修行中にどういうことが心や体に起こるのか、弟子たちに的確に伝えることが出来た。
例えば、光が見えると抽象的なことを言うのではなく、"ボーとした光の向こうにたくさん仏さんが並んでいる"と具体的な描写をする。
そういうことを続々と言われれば、神様が見えてくる。あれだけ人を惹きつけたわけだから。
そこを無視している以上、本質は見えない」
武本さんが問いかけた。
「おめえは、赤ん坊を殺したのか。どうしてだ。中川」
一瞬、間があった。親友であるおまえが突然問い詰めるのかという戸惑いが中川にあったのかもしれない。
「申し訳ないと思っています。遺族には本当に申し訳ないと思っています」
中川は、その動機については触れなかった。
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