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- 2018/05/17(木) 11:30:21.25
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兵庫県伊丹市の猪名川河川敷で平成28年10月、中国人留学生の切断遺体が見つかり、殺害に関与したとみられる中国籍の20代男が帰国後に身柄を拘束された事件で、中国の公安当局が男の刑事訴追に向け本格捜査に乗り出したことが15日、関係者への取材で分かった。今月中旬に入って公安当局者が来日。兵庫県警の協力を得て事件現場を視察するなどし、捜査情報の収集を進める。
男は事件発覚後に帰国。日本の知人に殺害に関与したことを伝えて中国公安当局に出頭し、身柄を拘束されたという。県警は殺人と死体遺棄容疑で男の逮捕状を取得したが、両国間で犯罪人引き渡し条約が締結されておらず、日本側は身柄引き渡しは不可能と判断。水面下の交渉で、中国側に国外犯規定に基づく処罰を求めていた。
関係者によると、公安当局者ら数人はすでに来日。18日にかけて遺棄現場や男が住んでいた大阪市阿倍野区のマンション視察などを実施する予定という。
これまでの調べでは、男は28年9月下旬〜10月上旬、当時の自宅マンションで知人の中国人留学生、蔡(さい)鎔(よう)憶(い)さん=当時(20)=を殺害し、遺体を猪名川河川敷に遺棄した疑いが持たれている。
遺体は同年10月10〜11日、河川敷の橋脚近くの草むらや地中から両腕と両脚、頭部、胴体の6つに切断された状態で相次いで見つかった。腹部には複数の刺し傷があり、一部は内臓に達していた。
■日中関係改善が追い風か 当局者派遣、中国首相訪日直後
中国側が容疑者の身柄を拘束したまま膠着(こうちゃく)していた事件は、発生から約1年半を経て刑事訴追へと動きだした。このタイミングで中国公安当局者が来日した背景には、今月上旬の日中韓サミットに合わせ中国首相が7年ぶりに訪日するなど、日中関係の改善ムードの広がりがあるとみられる。
日中両国は平成20年に犯罪捜査で協力する刑事共助条約を締結している。ただ、両国間に犯罪人引き渡し条約はなく、今回は自国民保護の観点から、中国側が男の身柄を日本に移すことは絶望的な状況だった。
こうした事情を踏まえ、日本側は国際刑事警察機構(ICPO)を通じ、中国側に男に関する情報の提供を要請。その後、両国間で捜査資料などをやり取りする中で、中国側に国外犯規定によって自国法に基づき男を処罰するよう求めた。中国側は情報収集のため、これまで複数回にわたり日本側に事件現場の視察を打診したが、中国側の日程と折り合わず、いずれも中止となっていた。
中国側は今回、東京で5月に開かれた日中韓サミットの準備が進む中、公安当局者の派遣を再び打診。日中間で具体的な調整が進み、日中韓サミット後に事件現場を視察することなどが決まったという。関係者は「日中韓サミットで7年ぶりに中国首相の訪日が実現した。両国関係を安定化させたいとの思惑が、訴追への追い風になったのではないか」としている。
2018.5.16 08:11
産経WEST
https://www.sankei.com/west/news/180516/wst1805160018-n1.html
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