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- 2017/07/18(火) 20:45:02.53
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消防の頃かな、ドラゴンボールが流行ってたのは。
みんな悟空の真似してさ、「かめはめ波ー」なんつってさ。
出ねーよそんなもん。出せるかよお前ら地球人に。でも俺には出せるんだ。
俺人一倍毛深かったんだよね。背中なんてボーボーでさ。何か猿っぽいじゃん?
マジで思ってたよ。「俺はサイヤ人の子孫」汗ギラギラの肥満体のくせに。
で、教室。円グラフなんか見て体をビグ、ビグンって
ゆすったりして、満月で大猿になるみたいに。
ずっとやってた。急に胸押さえて心臓病のふりとかもしてた。
王子ぶって、周り見下してた。
で、そんな俺に、唯一仲良しのT君が言ったのよ。
「気持ち悪いよ」「何してんの?気持ち悪いよ」
俺プッツン、彼を殴った。蹴った。
髪も金色のつもり。ピッカピカの丸坊主だったくせに。
それ以来T君とは話さなくなって、中学、高校、一浪して今は二十歳の大学生。
で、こないだの成人式。
俺一人でいると、向こうの方から懐かしい顔ぶれが歩いて来る。
その真ん中は、分かるよね。
俺バカだから、「ゴメン」も言えない。どうしよう。何か話す事は?なんて。
空白の7年間?話し方なんて、忘れちゃったのに。
T君こっち来るよ。平静をよそおえ!「ひ、久しぶり…」
T君俺の方チラッと見て、チラッと見たんだよ、確かに。俺の横を素通りしてったよ。
ごめんね、T君。俺が悪かったよ。許してよ。俺今一人なんだよ。友達もいないよ。
中学でも高校でもいじめられて、
死ぬほど怒っても、超サイヤ人になんかなれなかった。
ウソばっかり言ってごめん。ごめんなさい。だから、挨拶だけでもいいから。お願い。
今更無駄だよね、でもT君楽しそうだったよ。いい友達見つけたんだろうね。
かたや俺は、カッコつけてウソついて、この様よ。爆笑もんだよ。
でも、聞いてよ、T君。俺一つだけホントの事言ってたんだよ。
俺、心臓悪いんだって。
爆笑もんだろ?
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