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  • 2011/10/15(土) 09:28:45.32
これまでに552が指摘してきたこと(冗長的なシーン、射殺の緊急性など)は、米国公開版が
どのような理由でシーンの取捨選択がなされているか、その一端を示唆するものとして
読むことができるかもしれない。また、すでにカラーが主流の時代のモノクロ作品、
しかも外国語映画となれば、尺の長さは嫌われる原因になるだろうから、2時間弱に
収めることも要求されたのかもしれない。

実際、カットのないバージョンはかなり長かった。552が思いついた「マドレーヌがベルナールに
相談する」シーンというのもカットされたシーンに含まれていたと記憶している。もっとも、
マドレーヌがベルナールに「毎週日曜日に公園で遊んでいた」と言ったかどうかは覚えて
いないが、一度ふたりの後をつけただけのマドレーヌもそれは知らなかったのではないか?

クリスマスの日、ピエールの不審な様子に気がついたマドレーヌは、やむにやまれず病院で
ベルナールにそのことを打ち明けた。マドレーヌはシベールの素性を伝え、ベルナールは
後で車中で語ったことと類似した医学的な指摘をし、ピエールをなんとかすべきだと助言した。
医者としての判断とともに、ピエールを追っ払おうという意図も透けてみえた。
ベルナールが酒場から電話したマドレーヌの話をすぐに飲み込んで、寄宿舎に確認したか
尋ねることができたのはそういう経緯があったからだった。

つまり、ベルナールの意見とカルロスの意見の間でマドレーヌが揺れるというモチーフが
あったのだが、DVDバージョンでは片方が消されてしまっているため、観客が共有すべき
マドレーヌの葛藤がうまく伝わらなくなってしまっていると思う。ベルナールの言葉で
ピエールが少女に危害を加えるのではないかと恐れていたマドレーヌは、酒場の男の
話を聴いて、カルロスの言葉がやはり正しかったのだと思い直した。それで迎えに来た
ベルナールが警察に通報したことを知って腹を立てたのだ。

教会の場面が滑稽なのは、往路では男の視線をかいくぐって壁際を身を隠しながら
進んだピエールが、復路では堂々と男の前を通り過ぎるという対照の可笑しさだったが、
DVDバージョンではなんだかわけのわからないシーンになってしまっている。
カットの理由がコミカルなシーンの削除ということなら、ピエールを射殺した警官の姿が
カットされている理由にはそれもあったかもしれない。登場した警官は厳格そうな上司と
やや間の抜けた風の部下のデコボココンビだったので。

ここまで見た

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