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  • 2010/09/17(金) 19:50:06
以下、アマゾンレビューより転載。

本作品について、一部のシーンがカットされているとのレビューがあります。問題のシーンは、
ピエールが射殺されるという驚くべき場面です。本当に、そんなものがあったのでしょうか。
小生の手元に一つの判断材料がありますので、それを基に検討してみます。
判断材料とは、雑誌『映画芸術』昭和38年7月号に掲載されている「シベールの日曜日」シナ
リオです。ちょうどこの映画が日本で公開された頃のもので、内容を読んでみると、映画から
シナリオを書き下ろしたようです。このため、当初の公開作品からシーンがカットされているか
否かの、重要な判断材料になると思われます。
それによれば、映画の流れは次のようになっています。

1)教会の尖塔  ピエールが風見鶏を取り外し、クリスマスのミサの中を通りぬけてゆく。
2)マドレーヌの部屋 彼女とベルナールが電話を睨んでいるところに、呼び出し音が鳴る。
はじめにカルロス、ついでまたカルロス。最後に警察から。ベルナールが受話器に向かって
「なに?彼を殺した?」。それを聞いたマドレーヌが絶叫する。
3)湖畔の林 フランソワーズを警官らしい人かげが追っていく。
その後、ピエールの惨殺された姿、警官の証言、フラッシュ…最後にシベールがあの台詞を
口にする。

以上のように、「ピエールの射殺シーン」は、見当たりません。とすると初公開の段階では、
そのようなシーンは存在しなかったと考えるのが妥当でしょう。したがって、シーンのカット
批判が「当初のオリジナル版にあったものがカットされている」という意味であるなら、それ
は誤りだと思われます。

ただ、映画の世界ではさまざまなバージョンが作成されるのも常識ですから、別途、ピエール
の射殺シーンを追加したバージョンも作られたのかもしれません。小生は見ておりませんが…。
そうであるなら、追加されたシーンが改めてカットされたことになる。これについて、果たして異議
を唱えるべきか否かは、見ていない人間には測りかねます。
もっとありそうな可能性は、記憶の捏造です。この映画は強烈な印象を残すにもかかわらず、
容易に見られない時期が長く続いていました。すると、観客が一度見た記憶を脳内で操作してし
まう可能性が高い。その一環として、警官の証言から映像を作り上げてしまったのではないか。
そのような人が複数いたとしても、この映画のインパクトからいったら、不思議ではなかろう。
小生の内心の声は、これに傾いています。
だって、射殺シーンとマドレーヌの絶叫シーンは完全に重複しますし、へたにピエールが「ナイフ
を振りかざして」いるシーンが出てきたりしたら、それまでの神秘化がぶち壊しですからね。

しかし、映画ビジネスは巨大で、何があっても不思議ではない。どなたか、正確なところを教え
ていただけると有り難いですね。


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